23、冷たくて冷たくて ページ23
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鼻の奥にこびりつく、なんとも言えない不快な臭い。
私は張り裂けそうな胸を震える腕で抱きながら
美しい木の棺に入れられた、白い布を首元までかけている少年の顔を見る。
まだあけどなさが残る可愛いらしい顔。
薄い唇は今にも動き出して私の名前を読んでくれそうで、
閉じられた瞼が今にも開いて私の姿を写しそうで、
だけどそう考える度、心臓を引き裂くような悲しさに襲われた。
そして同時に、色白だった顔は更に血の気のない色へ
硬くなってしまった身体、所々の黒い痣、
そういったものを見つける度に、
あぁそんな事は絶対に無いんだと
グサリ、グサリと現実が私の胸に突き刺さっていった
「&=͟͟͞͞#=͟͟͞͞@=͟͟͞͞くん…。。」
その子の名前を呼ぶ声が聞こえる。だけど、ノイズがかかって聞き取れない。
それでも、名前を呼ぶ声がする度に私の心臓は恐怖に縮み上がった
_________…私の所為だ。
暗転
「A…!!」
『捕まって…!! 早く!』
すれ違った手、遠ざかって見えなくなる小さな手
誰かの泣き叫ぶ、悲痛な叫び、悲鳴。……私の、悲鳴
大好きだった愛らしいあの子は、次の日に見つかった
「貴方がついていながらっ!なんでっ私の子が…!!」
「ちょ、やめなさいよ」
「なんで貴方は助かってあの子は助からなかったの?!
貴方が代わりに____」
キィーーーン、耳鳴りが冷たく大きく痛く響く
あぁ、その通りだ
私の所為だ。私が見ていながら、何も出来なかった。
私が代わってあげられればよかった。あの子が死ぬ理由なんて無いのに。
私が、死ねば…
私なんか、死ねば良かったんだ
気が付けば真冬の重たい空の下を行くあてもなく彷徨い歩いていた
死のうとか、どうしたいとか、何も考えずに、ひたすら歩いていた。
誰かが私を呼んでいるようだった。
其の気配を辿って朦朧とする意識下で気付けば、周りは酷く心地よい白一面に。
残酷にも美しい冷気に、身を委ねてみた
そこはとても冷たくて_____そして暖かかった
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月夜の浜辺(プロフ) - 頑張って下さい (2023年1月1日 0時) (レス) @page41 id: 728094f8c1 (このIDを非表示/違反報告)
帽子(プロフ) - https://uranai.nosv.org/u.php/novel/bousi08211/ (2020年7月24日 13時) (レス) id: abdb937301 (このIDを非表示/違反報告)
帽子(プロフ) - 作者です。ログイン出来なくなったので、すみません。こちらを参照して頂きたいです。https://uranai.nosv.org/u.php/novel/bousi08211/ (2020年7月24日 13時) (レス) id: abdb937301 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 更新待ってます、時間が空いた時にゆっくり書いてください。いつでも待ってます。 (2019年8月15日 23時) (レス) id: 1a532e4f84 (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きのAlice(プロフ) - 初コメ失礼します!いつまでも待ってるので書いてください! (2019年8月15日 20時) (レス) id: dae695a2d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧禍 | 作成日時:2017年10月11日 0時