【あんスタ】綺麗な人 2【男主】 (ページ25)

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何日か聖を教えていて気づいたが、聖は全く息継ぎをしようとしない。そして水中で目を開けていない。

『ﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸﾌﾞｸ』

薫「聖ちゃん！！聖ちゃん息継ぎ！息継ぎ！」

もう溺れる直前の聖を救出するのが日課になってきた薫は、慣れた手つきでただただ沈む聖を姫抱きで水中から引き上げ、息を整えさせる。

ぜぇぜぇと息を整えようとする聖はくた、、、としている。救出には慣れてもこの姿を見るのはまだ慣れない。正直に言って大変変な気持ちになる。
何度か合同レッスンをしても呼吸を乱したところを見たことがなかったのに、こういう場面で見るのは新鮮というかなんというか、、、呼吸を荒げてくたびれる聖がこんなにいかがわしいとは思わなかった。そう感じるのは薫だけなのだが。

こうして持ってみるとやはり聖は華奢だ。骨格から細くてさらに無駄な肉がついていない。

『薫くん？』

薫「ごめんごめん。息継ぎの練習しようか。俺が手を持っておくからバタ足して息継ぎしてね。お手本見せるから見てて」

・

ほぼ毎日の練習のおかげで、聖は平泳ぎができるようになった。バタ足のクロールよりも平泳ぎの方がいいのでは？と思ってやらせてみたらビンゴだった。聖には平泳ぎの方があっていたみたいだ。
今日やっと25m泳ぎきることが出来た。大きな進歩だ。

初めて泳ぎきれた聖はすごく眩しい笑顔で薫に飛びついた。

『薫くん！25mできたよ！』

薫「聖ちゃんすごい！頑張ったね」

確か自分が赤点回避した時は逆の立場だった。嬉しさのあまり聖を高い高いしたのを思い出す。
できなかったことができるようになった時の達成感は薫もよくわかっている。だから聖がどれだけ喜んでいるかわかる。特に苦手なことが少ない聖は水泳が出来なくてさぞ悔しかっただろうからそれだけ達成感も大きいのだろう。

『薫くんのおかげだよ。根気強く教えてくれてありがとう』

無邪気に喜ぶ今の聖はきっと誰の目から見ても可愛いだろう。
こんな可愛い顔は自分だけが知っていたいな、、、なんて思ったのは秘密だ。