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凪彦一行は宛のない道をずんずん歩く。京の町はいつもの如く賑わいを見せていて、さらに凪彦は両手に少女を二人も侍らせているせいで悪目立ちしていた。
｢お兄ちゃん、最初から奢ってあげるもりだったんでしょ｣
藤内は凪彦を見上げながら聞いた。
｢え？あぁ…まぁな｣
｢トウコ、違うんだよ。凪兄ったら全員分のお勘定払っちゃったんだよ｣
｢え…海老天だけじゃなかったの？｣
｢うん、トウコが出ていって大急ぎで追いかけて行こうと全員分払っちゃったの｣
｢俺のせい？｣
数馬の言葉に藤内は青くなって凪彦へ問いかける。凪彦は飄々とした態度で藤内を見つめ返した。
｢違うさ、恩を売っただけだよ、アイツらに｣
｢でも…高いのに｣
｢この間の休みで臨時収入が入ったから、大した金額じゃないさ｣
凪彦は二人の手をギュッと握った。
｢ま…孫兵には黙っておかないとだね…｣
｢あぁ、伊賀崎には前奢っているから……。まぁ、だから全員分奢ったんだけどさ｣
数馬の言葉に、なんでもないように告げてニコリと笑う。
孫兵に奢ってあげた手前、他の子達との差を付けたく無かったのだ。
｢ここ、小松田さんの実家だぞ｣
とある扇子屋で足を止めて、繋いでいた手を離す。
凪彦は体を少し店内へ入れて優作を呼んだ。
｢優作さん、お久しぶりです｣
｢あ、西園寺くんじゃないか！｣
｢こんにちは｣
｢今日は何用で？｣
｢今日は実習で。京の町だったので顔を出しておこうと思いまして｣
藤内と数馬は優作へペコりと頭を下げた。
凪彦はたわいもない話をちょろちょろと優作と話して二人に向いた。
｢実は俺が三年の時に優作さんに鉄扇を特注で作ってもらったんだ。そこでお世話になったのさ｣
｢へぇ〜｣
｢何かあれば作ってもらえばいい、霞扇なんてする時に頼むといいさ｣
薬学を嗜む数馬がふむふむと頭を縦に振った。
｢作法委員会だって扇子の一つや二つ管理しているだろう？｣
｢は、はい！｣
｢何かあったらここに頼むといいよ、何かと融通してくれるから｣
｢凪彦先輩は鉄扇が得意武器なんですか？｣
｢……ウーン、得意というか小さくて小回りがきく武器が好きだから鉄扇を使ってるんだ。私は二年の時火薬委員でな、その時久々知先輩に寸鉄も教わったからそれも使えるぞ｣
｢へぇ〜！｣
その後凪彦は優作に｢秀作さんが会いたがってましたよ｣と伝え｢全く、秀作ってば…｣と照れくさそうに笑う優作に｢俺もだよ｣という返事を貰ってから扇子屋を後にした。
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墺士(プロフ) - 夜ながながさん» コメントありがとうございます！応援よろしくお願いします🤍 (12月11日 13時) (
レス) id: 6957722078 (このIDを非表示/違反報告)
夜ながなが(プロフ) - 続編おめでとうございます！そしてありがとうございます！とても大好きな作品です🫶🏻💖これからも応援しています！ (12月11日 12時) (レス) id: ebecf52502 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：墺士 | 作成日時：2023年12月11日 10時
