16話 ページ21
貴方side
二『なんで……。吐いたんだ…?』
なんで、そんな事を聞くの?
私の事なんて、
どうでもいい筈なのに。
それでも、答えないのは
罪だと思って、
胃液まみれの重たい口を、
ゆっくりと開いて
私は喋り始めた。
貴『最近…食欲が無くて……。
ごめんね…。本当に、ごめん。』
とりあえず、謝らなきゃ。
折角作ってくれた夕食を、
こんなふうに
台無しにしたのだから。
そう思って、
いつものように謝っていたら、
二郎が喋り始めた。
二『いや、別に謝って欲しい訳じゃ
ねぇし、夕食だって
ただの余りもんだし、
食欲無ぇなら無理して食う必要
なかったじゃねえかよ。』
ごもっともだ。
でも、
私からしたら、数カ月ぶりの
夕食だったんだ。
しかも、施設で食べれる事だって、
早々無かったし。
食べれると思った。
けど、私の胃は、
私の思う通りの、
食べ物や飲み物を、
受け付けてはくれないようで、
いつしか、
水しか口にしなくなった。
体重は減っていくばかりで、
全く増えなくて、
貧血と寝不足で、
毎日フラフラの状態だったんだ。
そんな自分の目の前に、
ご飯があったら、
いくら食欲が無くても、
命の危険を感じて、
何か食べ物を口にするのが
きっと人間の生体なんだ。
だから、
あの時の私には、
食べる意外の選択肢なんて、
一つも残っていなかった。
頭の中でこんな事ばかりを
考えていると、二郎が、
二『お、前、大丈夫かよ…?』
何が、だ。
貴『えっ……な、にが…?』
二『何が、ってお前、泣いてるぞ。』
二郎に言われて初めて気づいた。
私は涙を流していた。
何故泣いているのか分からない。
自分でも自分が分からない。
そんな自分が怖くて嫌いで、
どんな人間よりも
恐ろしく、悍ましかった。
貴『…っ……大丈夫……っ!』
根拠なんて全く無い
言葉を二郎に吐き捨てて、
私はいつしか
施設から出て、走っていた。
気持ち悪い。
大っ嫌い。
あの子達に似た自分の顔も、
簡単に人を殺してしまう私も、
そして簡単に二郎に縋ってしまう、
自分が、私が、大っ嫌いだ…。
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マカロニサラダ(プロフ) - おっふさん» 申し訳ありません!手違いで直接ご返信できませんでしたが!読んで頂けると嬉しく思います! (2019年8月7日 23時) (レス) id: 1d4119f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニサラダ(プロフ) - バレてしまったなら仕方がない…!実はおっふさんが好きそうなストーリーをこっそり研究してたんですよ!っていうのはもちろん嘘ですよ…!ご愛読下さりありがとうございます!! (2019年8月7日 23時) (レス) id: 1d4119f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
おっふ - わぁっ、、すげぇ、ストーリーが私好み、、、、え?なんで知ってるんですか、わたしの好きなストーリーとか← (2019年8月7日 23時) (レス) id: dfac6954d1 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニサラダ(プロフ) - キユぎつねさん» コメント誠にありがとうございます!!最近また更新頻度が落ちてきてるので、頑張ろうと思います……。 (2019年8月4日 2時) (レス) id: 1d4119f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
キユぎつね - この作品を初めて読んだ時はさ、こういうのもいいなーって思っていたけどさぁ、過去の話になってから「う”あ”あ”ぁ”ぁ”!!姉さぁ”ぁ”ん”!!」と発狂するようになったでござるる(^^) (2019年8月3日 18時) (レス) id: 00266d32c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マカロニサラダ x他1人 | 作成日時:2019年3月3日 22時