【ヒプマイ】姉なんです。【山田家】

22話 ページ26

貴方side

二郎に話があると言われたのに、

一向に話が始まらず、

しどろもどろになっている二郎。

なんて言われるのか、

こっちはドキドキしっぱなしである。

貴『じ、二郎....？話って、何....？』

二『えっと、その、姉さん、に』

貴『うん....。』

二『謝りたくて、、、、、。』

え。

私に、謝りたい、こと....？

何を....？何を謝るの....？

分からない。

二郎は私に何を謝りたいんだ。

貴『え、えっと。何を....？』

二『俺、姉さんが働き始めたころくらいに、一気に態度が
　 酷くなっただろ....？』

貴『え、そ、うかな....。』

二『そうなの！！』

貴『あ、うん、ごめん....。』

二『あ、俺も、ごめん....。
　 えっと、まずはそれを、謝りたいんだ。
　 今まで、ごめん。』

あれ、なんか、あれ....？

泣きそうだ。

二郎が謝る理由は分からない。

だって、あんな態度を取られたって、

おかしくなかったんだ。

施設にも帰って来ずに、夜遅くまで出歩いている姉を、

誰が嫌いにならないのか、逆に不思議なくらいだった。

だけど、施設から出て何年か経っても、

胸のひっかかりは取れなかった。

安心した。
　
私には、兄弟がいた。

可愛い可愛い弟達が。

私にはいつもついていた。

どうして今まで気がつかなかったんだろう。

全くの他人だと感じていた。

こんなに近くにいたんだ。

私が働く理由も、全てはこの子達のため。

なんのために生きているのか分からなくなった時も、

心の支えは弟達だった。

それを忘れていた。

二郎が思い出させてくれた。

二『きっと！兄ちゃんも三郎も、同じ事思ってるはずだよ！
　 だって、皆姉さんの事、大好きだから！！
　 ....って、泣かないでよ姉さん！！』

貴『う、んっ。ごめん。ｸﾞｽｯ ごめんね。ありがとう....！』

この言葉を待っていた。

"大好き"その一言で、私は頑張れる。

人を殺してしまうこの仕事も、

憎らしいくらいこの子達に似た自分の顔つきも、

全部"大嫌い"だった。

だけど、今日からなんだか、

"大好き"になれそう。

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