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『………………、見送りはいりませんよ』
「!」
風丸が階段を登りきる数段前で、海風が言った
『ここまでの道順は不動のおかげで覚えています
失礼します』
サッカー部会議室を出た海風は、ゆっくりと廊下を歩いた
「海風」
『風丸…』
「送る」
『だが…』
「総帥からのお達しだ。最後までやる」
海風は先へと歩いていく風丸に、『そうか…』と言うしかできなかった
しばらく歩いていれば、「どうだ、雷門は」と風丸が聞く
「御影専農に勝ったらしいじゃないか」
『…あぁ』
「海風…?」
『…風丸』
海風は足を止める
『お前はどうして、影山の下についているんだ?』
「………………」
『話せないことだというのはわかっている
だが、私がアイツをどれぐらい憎んでいるか知らない訳じゃないはずだろう』
自分と豪炎寺、そして夕香を苦しめた張本人
理由は違えど、円堂や鬼道も苦しめた男
『鬼道も円堂も豪炎寺も、私も…アイツに』
「……………………すまない」
『お前はお前のしたいことにまっすぐ進んでいるなら、それでいい。私は止めない
だが、もしも、もしも1年前のように影山に力をもらおうとするなら…私は容赦なくお前を潰しに行くぞ』
「……………………」
海風の言葉に無言で見つめる風丸
『帝国との試合は、負けないからな』
風丸の横を通り過ぎながらそんなことを言う
「海風…」
風丸はすでに遠くに行ってしまった元仲間の背中を苦しそうな表情で見つめた
「…………すまない」
そんな小さな声が、海風の耳に届いた
(なんでお前が、お前が謝るんだ…っ、風丸!!)
悔しさなのか、辛さなのか、元仲間のそんな言葉と声を聞きたくなかった海風は、拳を力一杯握る
(風丸が影山に従うのには何か理由があるからだ
でなければ、あんなに優しい風丸が影山に従うはずがない!!
影山、お前は何が目的だ!?
1年前に飽き足らずまだなにかをしようと言うなら…その時は!!)
ギリッと海風の歯が音を立てた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2019年9月18日 0時