雷門の女神2 (ページ24)

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「復讐のためにな！」

ドリブルで相手に向かっていく

フィールドの悪魔の称号にふさわしく、灰崎は厳しいマークを次々に交わしてゴールへ迫る

個人能力の違いは明らかだ

ボールは灰崎1人のもので、敵味方の21人は誰も触れやしない

木戸川清修は、硬い連携で灰崎の襲撃に備えた

ドリブルの進路には頑丈な防御体制が敷かれ、背後を狙う鬼道には大型センターバックの黒部が密着していた

灰崎はスピードを緩めることなく、目だけを動かし状況を観察した

そして鋭く左足を振り抜いた

ボールは、ゴールの枠を大きく外れた

『パスか』

灰崎は見抜いていたのだ、右サイドのマークが薄いことを

驚いたのは折緒だった

灰崎からパスが来るとは思っても見なかったのだろう

正確にボールを収めて顔を上げる

目の前にはゴールキーパーだけ

折緒がボールを浮かせて高くジャンプし、空中でボールを股に挟み体をひねった

「スペクトルマグナ!!」

強烈な横回転の加わったシュートが、光の塊とともにネットを突き刺した

「っしゃあ！」

折緒が大きくガッツポーズし、佐曽塚と頭上で手を合わせる

大型スクリーンの表示は、1対2に変わった

喜び合う2人は同じ方向を向く

その視線の先には、ゴールに背を向けてさっさと自陣に戻る11番のユニフォーム

「灰崎、あいつ…」

佐曽塚はその背中を頼もしく感じた

『始まったな…』

海風は目を閉じると、その場から背を向けた

「え、海風さん？
最後まで見ないんですか？」

『結果はわかってるんでね…。おめでとう』

「……？」

音無が首を傾げながら、スタジアムの中へ入っていく海風を見送った

階段を下りながら、海風はワァァァァァと湧き上がる歓声に方頬を持ち上げた

『今回は、やられたな…。豪炎寺』

・ピッチ・

結果は3対4で、星章学園の勝利となった

「灰崎凌兵か……。面白くなってきたな」

歩み寄ったのは、豪炎寺だ

「いい試合だった」

と、鬼道が讃える

「あぁ」

豪炎寺が応えた