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「お前とお前」
豪炎寺は名前も知らない1年生を指差した
一年生は名前を告げた
「星乃と水戸か、俺のチームに入ってくれ」
木陰から見守る影は、『お手並み拝見といこうじゃないか』と呟く
その日の夕方、星乃と水戸を引き連れた豪炎寺が、武方三兄弟と対峙した
努がドリブルで仕掛ける
星乃が体を寄せる
努のスピードが落ちる
「いいぞ!」
と、すかさず豪炎寺が駆け寄ってボールを奪った
「しまった!」
「シュートを打たせるな、みたいな!」
三兄弟は中央を固めた
だが、豪炎寺は左サイドの水戸にパス
努が慌てて水戸を捕まえに行く
三兄弟がバラバラに広がった
「豪炎寺さん!」
水戸は迷いなくセンタリング
守備が薄くなった中央から、豪炎寺が難なく得点した
三兄弟も反撃した
「俺が決める」
「僕が」
「俺が」
3人はそれぞれ必死だった
だが、ミニゲームは3対0、豪炎寺組に完敗した
「なぜ僕たちが負けるんだ」
「俺たちは完璧に息が合ってるはずなのに」
悔しがる三兄弟を、豪炎寺の横に歩み寄ってくる誰かが諭した
『仲がいいことと、本当のチームワークとは違う
自分がほかの2人より目立とうという雑念がある限り、お前たちのプレイは個人プレイと同じだ』
「お、お前は…!」
「海風亜真音…!?」
「な、なぜここに!?」
『元の学校での強化委員の仕事をこなせているかどうかの偵察だ。
君たちの実力は確かだ。だが、互いを尊重することを考えければいけない』
「互いを…」
「尊重すること…」
『あぁ、そうだ。豪炎寺はチーム全員で、お前たちはバラバラで戦った
そこでお前たちは、豪炎寺たちに勝てなくなっていたんだ
勝ちたいのなら、まずは全員の力を合わせなければいけないんだ』
海風が言えば、三兄弟はハッとした
この時から、チーム一丸となった現在の木戸川スタイルが磨かれていった
『あの時から、木戸川のスタイルが変わってきた』
武方三兄弟が気づいたあの日
あの日から、彼ら木戸川清修は変わったのだ
『この試合、しぶとくなるかもしれないぞ。鬼道』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2019年9月18日 0時