雷門の女神2 (ページ11)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:44,241 hit

11-3 ページ11

「どいてくれないかい？」

「え？」

杏奈にそう言い放つと、野坂は杏奈の後ろに立っていた海風の前に立つ

「雷門の女神、海風亜真音さんですよね？
王帝月ノ宮の野坂悠馬です」

『あぁ、戦術の皇帝君だね。海風だ、よろしく』

「よろしくお願いします」

貼り付けたような笑みに、海風も営業スマイルを浮かべる

「今日はどうしてここに？」

『星章と木戸川清修の試合は、予選ブロックの目玉だからな
気になってきただけだ』

「そうだったんですか」

『お前たちも、この試合が気になって来たんだろう？』

「えぇ、まぁ」

『すまないが、この後外せない用があるんだ。この辺で失礼するよ』

「え、海風さん。どっか行っちゃうの？」

『すまないな…。強化委員の仕事だ
観客席からではないが、試合は必ず見ている。星章と木戸川清修の試合は、学ぶべきものが沢山ある

しっかり見て勉強してこい』

「「はい！」」

『じゃあ、失礼するよ。野坂、西蔭』

「！」

「えぇ、お引止めしてすみませんでした」

『構わないよ』

野坂の横を通ると同時に、野坂の少し後ろに立つ西蔭に少し微笑む

西蔭はその微笑みに、ただならぬ気配を感じて大きく振り返った

イレブンたちも、観客席に向かっている

「西蔭、どうかしたのかい？」

「…いえ、なんでもありません」

歩いていく海風のその背中に、西蔭はずっと見つめていた

・サッカー部会議室・

星章学園イレブンのいる会議室のドアをノックしようとした海風だが、中から声が聞こえた

「試合には出ないんじゃなかったのか、灰崎」

イレブンの1人の声が聞こえ、海風は少し様子を見ることにした

「今日は朝から調子が良くってな。腹ごなしに来てやった」

「来てやっただと!?」

掴みがかる寸前に、ドアを開けた

『試合前にケンカとは、感心しないな』

「雷門の…!!」

「海風さん!?」

「どうしてここに…」

キャプテンの、水神谷がそう聞けば『仕事でな』と言いながら中に入った

「あぁ、来たのか」

『まぁな』

「揃っているな、ではこれよりスターティングイレブンを発表する」

鬼道の声が響き、先発の布陣がスクリーンに映し出された