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「あんたに教わったことは守っているだろう？」
頭上から降ってきた声に顔をあげると、そこには階段の踊り場でアッシュが月龍の首筋にナイフを突きつけて立っていた
「……お前の条件は？」
「人質全員とこのバカ様の交換さ」
「それはまた虫のいい話だな」
「へぇ、そうかな…依頼人の命を守れなかったら、あんたの真っ白な経歴に汚いバツがつくぜ」
月龍の頸動脈に鋭いナイフを突きつけてそう言うアッシュに、本気で怒っているのだと理解した
「そんなことをしてみろ！キミの仲間だってただじゃすまないぞ！」
「黙れ」
焦りの表情で言う月龍に、アッシュは見向きもせずに有無を言わさぬ表情でそう言い、憎しみを晴らすようにアッシュは月龍の髪を強く引いた
「はらわたで首を絞めてやろうか。……仲間や来瞳に指一本触れてみろ、語り草になるような死に方をさせてやる！
人間の身体にどれだけ急所があって、どこをどうすればどんなに苦しんでも死ねないか、教えてくれたのはあんただったな！」
(鬼)
私の隣に立っている屈強な体つきのブランカさんを見上げながらそう思った
アッシュになにもかもを教えたこの人、どうやら油断しちゃいけない相手のようだ
「……よし、条件をのもう」
「そいつらを放すのと同時に、俺もこいつを放す。スリーカウントだ。アレックス、ネズミの廊下だ」
「いいか来瞳、遅れるなよ」
『…うん』
大丈夫、走れる
「3………2………1…ゴー！」
ブランカさんの声と同時に足を思い切り前に踏み出した
みんなで出口めがけてダッシュする
「うおおおおっ！扉が閉まってやがるーっ！」
『開けて開けて開けて!!!』
「うおおおおおおおおお!!!」
ガンガンとドアを蹴っ飛ばしてそのまま外へと飛び出ると、「早く！」とショーターが車のドアを開けて待ち構えていてくれた
「「ショーター!!」」
「早く乗れ！」
そこにアッシュも合流して、私たちは車へと飛び込んだ
「ふー…助かった〜」
「まさか、こんなことになるなんてな…来瞳、大丈夫か？」
『…え？あぁ…うん』
今思えば
この頃からなんだろう
自分の中のなにかが、壊れ始めていたのは
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2023年4月17日 8時
