命尽きる、その瞬間まで II【BANANA FISH】 (ページ10)

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ー日本ー

「〜♪」

某所。とある店にて鼻歌を歌いながら惣菜物を買う男がいた

来瞳の兄だ

「いやぁ〜…作り置きを食べ終えちゃう俺って罪な男〜！」

ポイポイと笑いながらカゴに惣菜物を入れ込む兄は、「それもこれも、美味いのが悪いよな〜」とトホホと小さく声を出しながら会計に進んだ

「さてと…叔父さんからの連絡だと、帰るってことになってるけど…こっちから連絡ないってことは、駄々こねてんなぁ〜」

叔父さんと表示されたトーク画面には帰ることを伝えてある文面だが、来瞳からは何もなかった

「ま、気をつけて怪我なく帰ってきてくれたらいいんだけどね」

スマホの画面にはイヤイヤ顔で写る来瞳と、にっこりと微笑みながら写る兄、その後ろには女が写っていた

その写真を見てからフッと笑って歩き出そうとした時

「想(そう)」

「(ﾄﾞｸﾝ」

買ったばかりの惣菜が地面にグシャリという音を出して落ちた

来瞳side

ﾊﾟﾘﾝ

『あっ…』

「だ、大丈夫!?」

『ごめんなさい…』

洗い終えた食器を奥村さんに渡して拭いてもらおうとしたら手が滑って床に落としてしまった
出しっぱなしにしていた水を止めてからそのまま素手で破片を拾おうとすると、「バカ」と手を掴んできた

「素手で拾うな。破片で切ったらどうすんだよ」

『…………』

「ショーター、ほうきとちりとり頼む」

「お、おう」

「英二もここはいいから雑巾頼む」

「う、うん」

2人に指示を出したアッシュは「ほら」と私の手を引いてキッチンから出してきた

「埠頭での怪我といい、頬の怪我といい、お前は怪我が多すぎるんだよ。これ以上怪我されるとこっちがまいっちまう」

ソファに私を座らせてその隣に座って右手をあちこち確認してくるのに、くすぐったい気持ちになって『触ってないから』と手を引っ込めた

「ホントに？」

『…うん』

問い詰められて頷くと、彼は「ならいい」と立ち上がって片付けを始めるショーターの手伝いに行った

(なんで…)

いつもなら落とさないのに…

自分の右手をじっと見ていると、ポケットのスマホが鳴り響いた