殺し屋のバレー II 【男主】

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「ブロック、レシーブ、スパイクともに人並み以上の実力を要する暁くん
素人紛いはいるし守備はまだまだ穴だらけだが、その“素人紛い”を軸にした変幻自在の攻撃
翻弄するとはまさにこのこと
烏野か…ちぐさぐで危うくて、面白いチームだ」

「…ふふっ」

「そういえば、矢田さんは暁くんと同じ中学校だったね
中学の彼はどうだった？」

「あ、はい。バレーのテクニックはすごいですよ
今は怪我のせいであまりできないみたいですけど…怪我が治ったらきっと、もっと強くなります」

「そうなのか」

「はい。怪我がなかったら、強豪からの推薦もあったみたいで…去年も何校か」

「天才…か」









ﾋﾟﾋﾟｰｰｰｯ









『やっと2セット目取り返した…』

「おいおい大丈夫か？」









ちょっと足、ガクガクしてきそうだな…
屈伸しとこ…









「…向こうに影山と暁みたいなサーブ打つ奴いなくて助かったな…」

「…ああ、ウチはお世辞にもレシーブ良いとは言えないからな…」

『…………ハハハ』

「油断だめです」









田中さんと日向が勝てることに嬉しがっている中、影山がぴしゃりと言った







ぐぐぐっと足を伸ばしていた俺もその言葉に耳を傾けた









「多分…ですけど、向こうのセッター。正セッターじゃないです」

『…あの、俺3セット目縁下さんと代わってもらっていいですか？』

「えっ」

「どうしたんだよ」

『今、死ぬほど顔見せたくない人来そうな予感して…』

「「？」」









俺の願いは聞き入れてもらえず、3セット目が始まった
もう嫌だ、絶対来る、わかる、俺の全細胞が叫んでる









ﾋﾟｰｰｰｰｯ









「アララッ。1セット取られちゃったんですか！」

「おお！戻ったのか！足はどうだった！」

「バッチリです！もう通常の練習いけます！軽い捻挫でしたしね」

「「及川さ〜〜〜〜ん!!」」

『影山、俺を隠せ…』

「は？」

『頼むっ』









女の人たちの黄色い悲鳴が体育館に響き渡り、俺は影山と田中さんを盾に影に隠れた
いや絶対バレるんだろうけど、気休めに









「まったく…気をつけろよ、及川」

「スミマセーン。矢田ちゃんが一緒に来てくれたらもっと早く治ってたかも！」

「及川さん、ストレッチ入念にしてくださいね！」

「…ウン」

(矢田強い…)

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