リンクスと私 (ページ17)

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ー翌日ー

「紡宮、朝練行く気か？」

「行くに決まってる」

「バカじゃないの!? 足捻って安静にしろって言われてんでしょ!?」

「できなくても、一人でできることはある
ボール触ってないと感覚忘れる。繋琉兄だってわかるだろ？」

「ぐぬっ…」

グサリと紡宮の言葉に刺されたお兄ちゃんは、「ふんっ！」と顔を背けた

「体育でドジって1週間安静にしてなきゃいけないバカとは違って、俺は天才だからね!!」

『もう、喧嘩してないでさっさと用意してよー』

朝ごはんも済ませて紡宮のテーピングをしながらお兄ちゃんにそう言うと、「俺も怪我すればよかった!!」と悔しそうに叫んで自室へカバンを取りに戻っていった

『どう？』

「姉ちゃん、テーピングうまい」

『何回も2人のテーピング巻いてきたからね』

「…そっか」

『無理しない程度にね』

「おう」

テーピングが終わるのと同時に「歩けんの？」とお兄ちゃんが紡宮のカバンを持って降りてきた
紡宮は「多分」とソファーから立ち上がり、ひょこひょこと歩く

「車椅子の方が早いんじゃない？」

「うっせぇ」

『早めに出るし、コーチには言ってあるんでしょ？』

「おう」

『お兄ちゃんも朝練あるし、行こっか』

「ったく。ドジって怪我なんかするから」

「何回も「ドジ」って言うなよな」

「ドジっ子ドジっ子～!!」

「うるせぇ!!!」

「ぎゃんっ!!」

ガンッとお兄ちゃんの背中を蹴り飛ばした紡宮に、「なんで蹴るの!? 俺のイケメンさに嫉妬!?」と叫んだ瞬間、紡宮がカバンを振り回してぶつけさせようとした時、お兄ちゃんの後頭部にサッカーボールが当たった

「痛っ!?」

「あ」

「朝っぱらからうるせぇぞ、繋琉」

「剣ちゃん!!」

「剣大先輩、おはようございます」

「おう、はよ」

『おはよう、剣ちゃん』

「おう」

彼は剣ちゃん。お兄ちゃんの部活の友達で、最近できた仲の良い友達だそうで
すごく気があってまるで相棒という言葉が似合う関係だ

「朝っぱらから弟に絡んでんじゃねぇよ」

「だって聞いてよ！体育でドジって1週間安静にしてなきゃなんなくなったバカな弟だよ!?」

「マジか。大丈夫か？」

「ウス」

「気をつけろよ」

「アザッス」

「何で心配してんの!?」