リンクスと私 (ページ16)

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「体育でドジって1週間バレーできないぃ？
ハンッ！バッカだねぇ!!!」

「ぐぬっ……」

『1週間は安静にしなきゃいけないから体育も見学だからね』

「ぬぬぬ…」

部活から帰ってきたお兄ちゃんが、だっはははは！と大きな声で笑って紡宮をいじめ始めた
歩くのも少し痛いらしい紡宮は、「兄ちゃんうぜぇ!!」とクッションを投げ飛ばした

ドンピシャにお兄ちゃんの顔面にクッションが当たり、「なにすんだよっ!!」とクッションを投げ返したお兄ちゃんだけど、紡宮はボフンとクッションを受け止めた

『2人とも』

「「(ﾋﾞｸｯ」」

『暴れるならご飯抜きだからね』

「「ゴメンナサイ…」」

キラ…と光る包丁を取り出して笑えば、お兄ちゃんは部活の服を脱ぎ風呂に向かった
紡宮はコロコロとボールを手の中で転がして遊んでいる

「なあ、姉ちゃん」

『んー？』

「俺さ、ポジションやっぱセッターがいい」

『！』

「司令塔だしボールを1番触るって言うのもあるけどさ…スパイカーにトスをあげるのって…すげぇ、気持ちいい」

ポジションのことで悩むことは何度かあった紡宮は、やっぱりバレーのセッターというポジションに1番惹かれていた

だから、紡宮の中でのセッターというポジションはとても大きな存在だ

『…紡宮がそう思うなら、セッターがいいと思う
私は、バレーをしてる時の紡宮が大好きだよ』

「…ん」

『さっ、ご飯できるからこっちきて』

「ん」

ほんの少し嬉しそうな顔の紡宮は、迷いが吹っ切れたと言う顔になった

「あっ、シチュー!!」

『お兄ちゃん、お茶碗にご飯入れて』

「おっけー」

かぱっと炊飯器を開けて3人分のお茶碗にご飯をよそっていくお兄ちゃん
お母さんの分はちゃんと残ってるし、徹夜で帰ってきたとしてもあたためて食べれる簡単なものにしておいた

「澪緒のシチューはお母ちゃんと同じ味だからご飯が進むんだよね～」

「今度はカレーがいい」

『わかったわかった』

コトン、と紡宮の前にシチューの入ったお皿を置けば、「うまそう…」とゴクリと喉を鳴らしていた

「「いただきます」」