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「んじゃあ、バレーはしばらくできねぇのか」
「はい。けど、ボールは触ってます」
「あー、わかるわ。俺も怪我してできなかった時ずっとボール触ってたな
感覚忘れねえようにしてたわ」
「ですよね」
「何で俺を無視して話を進めるの!?」
剣ちゃんを真ん中にしてお兄ちゃんと紡宮が話を進めているのを黙って聞きながら後をついていく
「んじゃ、俺たちこっちだから」
「気をつけろよ、紡宮」
「うん」
『剣ちゃん、またね』
「おう」
「澪緒、またね」
「澪緒、お前に似なくてよかったな」
「どういうこと!?」
ぎゃんぎゃん吠えているお兄ちゃんに「うるせぇ!!!」と部活のエナメルバッグをぶつけた剣ちゃん
お兄ちゃんが「ひどいっ!!」と叫びながら剣ちゃんのあとを追いかけていく
「剣大先輩、めっちゃかっけぇよな」
『お兄ちゃんとどっちがかっこいい?』
「剣大先輩」
『男らしいもんね』
「おう。俺もあんな人みたいになりたいな」
会ってからまだ数日しかたっていないのに、剣ちゃんは私たちきょうだいの中ではすごく人気がある
あんなに男らしくてかっこいい人は今まで見たことがないから、おちゃらけなお兄ちゃんとは相性がいいと思う
「姉ちゃん、ここまででいいよ。遅刻したらダメだ」
『うん…気をつけてね』
「おう」
ひょこっ、ひょこっと歩いていく紡宮の後ろ姿をハラハラ見ていると、「深谷ー!」と部活の子がやってきて一緒に行ってくれた
部活の子が一緒なら心配いらないかな…
ホッとして学校へ足を向ける
学校に着くと、朝練がある部活が活気になって頑張っていた
奥村くんも棒高跳びの練習をしている
『すごいなぁ…』
鳥のように飛び上がっていく彼
あんな風に私も飛んでみたいなぁ…まあ、部活に入ったことがない私からすれば、どれもこれもすごいけど…
「澪緒〜」
『あ、ショーター。おはよう』
「おう、おはよう。今日も早いな〜」
自販機に行く途中だったショーターに挨拶をすると、「英二見てたのか?」と自販機に小銭を入れながらそう言ったショーターに私は素直に頷いた
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年3月23日 22時