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アッシュside
『………………………』
「おーーーい、アレン?」
『…?』
「お前、大丈夫か?クマ、すげぇぞ」
『…………………問題、ない』
「嘘つけ」
朝からアレンの様子がおかしい。というよりも、寝不足なのかクマをしっかりとこさえている
こんな状態で運転できるのかと疑問に思っていると、アレンと伊部さんの交代の時間がやってきた
荷台から降りたアレンの足取りはしっかりしていたが、それでも心配だった
俺と交代しようかと言おうとすると、「おい、大丈夫か?」とさすがのマックスも心配する声だった
『………平気、だ』
「寝た方が」
『…大丈夫、だから』
何かしていないと、怖いと言ったアレンの声に俺たちは顔を見合わせた。そんなこと、これまで聞いたことがないし、なんのことなのかわからない
「…無理はするなよ」
『…………………』
無言でエンジンをかけたアレンはアクセルをゆっくりと踏んだ
補強されていない道をガタガタと進むトラックに、「ケツが痛え」とショーターが嘆く隣で英二は運転席に座るアレンを一瞥した
「アレン、大丈夫かな」
「さぁな」
「本人が大丈夫って言ってるなら、大丈夫だろ」
「だと、いいけど…」
引っ掛かっている英二に「大丈夫だって!」とショーターが気ままに言う。俺も頷くと英二は「そうだね」と言う
『…………………』
「なんか食うか?」
『……………………いや、大丈夫』
「そうか…」
この2人の間にある溝は簡単には埋まらないだろう。アレンを知ろうとしているのか、はたまた出方を伺っているのか、恨みの矛先であるアレンをどうしたいのか知らないがおっさんはチラチラとアレンを見ている
そんなアレンは片手運転で肘をつきながら前を見据えて運転している
「な、なぁ…アレン」
『…………なに?』
「………お前はなんで、イラクの戦争に駆り出されたんだ?」
『………………………』
「…教えてくれ」
アレンがおっさんを一瞥したあと、また前を見た
静かにその話に耳を傾けている俺たちのことをルームミラー越しで確認したアレンはゆっくりと唇を動かした
『………何年、前か忘れた…でも、あの日俺たちは、「行け」と言われた』
「?」
『…命令は、「アメリカ人兵士を大量に殺せ」…だった』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2022年1月15日 11時