いとこの話は知っている

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「嘘だね。」

アーヤは、気を遣うことのできるタイプだ。

だから 俺といるとき、将来の夢については

聴かないはず。

初めて会話したとき、筑駒に落ちて、

宇宙飛行士の夢を諦めようとしてる って、

話したから。

アーヤは俺を気遣って、いままでその話題を

出したことがなかった。

でも いま、俺の目の前にいるアーヤ は、

いとも簡単に、サラッとそれを言った。

まるで別人だと思っていたけど、本当に別人

だと、確信した瞬間だった。

「君は、俺の知ってる立花彩 じゃない。

本物のアーヤなら、俺の前で、そのジャンルの

話はしないはずだ。」

俺がそう言った途端、偽アーヤは、フッと

ため息を吐いた。

「あーあ、バレちゃったにゃー。」

・・・。

「彩、細かくは話してくらなかった

からにゃー。

でも どこまで隠し通れるか、もうちょっと

試してたかったー。」

・・・。

アーヤの顔で、語尾付き口調は、やめて

ほしい・・・。

「君は、誰なわけ？」

「んー？

あた。」

「あーるなー！」

偽アーヤが名乗ろうとしたとき。

アーヤ の声が、後ろから聞こえてきた。

「そうそう、歩凪・・・って、彩！」

走ってきたのは、私服のアーヤ。

アーヤの顔が、目の前に２つ・・・。

めまいがしそう。

「歩凪！

勝手に学校に行くなんて、とんでもないよ！

あっ、翼！」

目を丸くして突っ立っていた俺は、アーヤに

気付かれて、逆に自分がハッとなった。

「あ、あのね翼！

この子は立花彩じゃ。」

「彩のいとこ、立花歩凪でーす！

あるにゃんって呼んでにゃ！」

アーヤの言葉を遮って、両手をグーにして手首

を曲げ、猫のポーズをしながら名乗る、

アーヤの・・・いとこ！？

「歩凪！

その名乗り方と語尾、私の前でやらないで

って言ってるでしょ！」

顔を真っ赤にして焦るアーヤ。

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