いとこの話は知っている

６-５ ページ34

「女の子が、月影日向ちゃん、男の子が、

月影陽太君。」

テレビに見入っている幼稚園児を紹介する。

「幼稚園の年少。

私のいとこで、双子なの。

海外で暮らしていて、あまり日本の文化を

知らないからか、２人ともすごく手を焼く子供

で、いろいろあって、若武の携帯番号に電話を

かけちゃったの。

受話器を取り上げたら、服を引っ張るは、絵を

触るは で、若武に返す余裕がなかったんだ。

今日 事情があって、伯父さん夫婦が預けに

きたんだけど、パパもママも外出してて、

お兄ちゃんは秀明、奈子は友達の家に

行ってて、私１人で面倒を見ているの。

５時になったら迎えが来るはずなのよ。」

ダイニングテーブルに座ってもらって、

説明する。

「ね、問題ないでしょ。

巻き込まれないうちに、みんな帰ったほうが

いいよ。」

みんなのためだもん と呟く。

「アーヤは、俺たちに 帰ってほしいの？」

「・・・そういうわけじゃなくて、みんなを

２人にいろいろ付き合わせるの、ダメだから。

いまはテレビ見てるからいいけど、飽きたら

また はしゃぎ始めるもの。

すごく疲れるから、帰ったほうが身のため

だよ。」

はぁ とため息を吐きながら、チラッと双子を

見る。

ディズニーの映画を見させているんだけど、

多分 あと１０分も もたない。

「んー、じゃあ俺 残るわー。」

た、翼！？

「同志が困ってるんだから、助けて

あげないと、ダメでしょ。」

いや、だから、とっても疲れるわけで・・・。

「俺も、チビどもの世話、やってやる。」

若武・・・。

「アーヤ、俺らはね、残りたいんだよ。

お姫様をお護りするのは、誰の仕事？」

・・・。

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