いとこの話は知っている

５-１ クール！？ side.A ページ21

「そこで、Aさんは 見てしまったのです。

B君の後ろに、死んでしまったはずの、Cさん

がいることに・・・。」

「キャァァ〜！」

「・・・。」

「・・・アーヤ、もうちょっと怖がってよ。

奈子っちは、超ビビッてるのにー。」

「そんなこと言われても・・・。

だいたい、いまのAさんの心情を考えれば、

Cさんの行動なんて、簡単にわかるもの。」

「・・・怖い話を、理屈で説明されたく

ない・・・。」

そりゃあ、凛々透ちゃんは、オカルト大好きな

魔女娘だもの、そんなこと思うの、無理もない

とは思うけど・・・。

穂椿凛々透ちゃん。

私のいとこの１人で、１つ上の中学２年生。

とても頭が良くて、優等生なんだけど、

ちょっと変わったところがあるの。

凛々透ちゃん、大のオカルト好き。

いとこやお友達からは、魔女娘 って

言われてるくらい。

暇さえあれば、怖い話を書き出すか、

オカルト本を読むか、悪魔の名前を暗唱して

いるの。

周りから不気味がられていないのが、本当に

信じられない。

「りりお姉ちゃん、それで、Aさんは、

どうなっちゃったの・・・？」

「あ、はいはい、続きを話すね。

そしてCさんは。」

いまは冬休みで、火曜日。

凛々透ちゃんが、うちに泊まりにきているの。

夏の夜でもないのに、やっぱり怖い話。

凛々透ちゃんは、人の心理を読み取るのが、

とても上手なの。

だから、奈子みたいな小さい子を相手に怖い話

なんて、簡単すぎることなんだ。

「・・・はい、おしまい。

奈子っち、怖かった？」

「うん、とっても！」

「そうか そうか！

またお話してあげるねー。

さ、今日は もう寝よう。」

と、凛々透ちゃんは、電気を消した。

すぐに聞こえる、奈子の寝息。

普通、怖い話をされたら、眠くなるのに。

やっぱり奈子は、変わった子なんだわ。

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