いとこの話は知っている

３-２ ページ13

みんなをリビングに通してから、すばやく

お茶を持ってくる。

一秒でも、良夢ちゃんをしゃべらせちゃ

いけないの。

私の小さい頃の記憶とか、ペラペラ

しゃべられるの、嫌だもの。

「えっとね、みんな、この子は、

良夢・シェルブールちゃん。

フランス人と日本人のハーフで、私の、その、

いとこ なの。」

「いとこ！？」

「この子が！？」

みんな、驚いてる。

多分、奈子の友達程度にしか、

思ってなかったんだと思う。

実際良夢ちゃん、お洋服のせいで、かなり幼く

見えるもの。

背も、低めだし。

「小学５年生だよ。

フランスにある日本人学校に通っているの。」

小学５年生 を、控えめに言う。

そして、フランス を強調する。

だって、良夢ちゃんが着てるのは、

ロリータ・・・。

「良夢ちゃんは、ロリータ系が好きなの？」

わっ、そこにあっさり切り込んでくる黒木君

は、すごい。

「そうですね、好きですよ。

このコーデは、結構お気に入りなんです。」

その、結構お気に入り なコーデは、襟付きの

白い七分袖ブラウスに、水色でハイウエストの

4段フリルがついたジャンパースカート。

同じ水色のバラ飾りつきレースカフスと、

つけ襟。

バッグはオフホワイトの四角いリュック。

「つけ襟とカフスとお揃いの、このリボンが

ポイントですね〜。」

良夢ちゃんは、下ろした黒髪に編み込まれた

ブルーのリボンに触った。

相変わらずというか・・・。

「そーだ。

彩おねーちゃん、ロリータ着る？」

き、きた！

「アーヤのロリータ？」

「フリフリ？」

わぁ！

「良夢ちゃん！

シュークリーム食べ。」

私が慌てて話題を逸らそうとしたら。

「良夢ちゃん、アーヤのロリータ、

見ーせて。」

翼！

余計なことを！

っていうか、いま悪戯っ子モードって、

知ってるんだから！

「俺も、見たいな。」

黒木君まで！

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