いとこの話は知っている

３-１ アーヤ、ロリータを着る ページ12

土曜日。

秀明が、午後から休校になった。

昼間だから大丈夫だって断ったのに、みんなが

家まで送ってくれたの。

そして、家までの一本道に差し掛かったとき、

手前のT字路から、１人の女の子が出てくる

のが見えた。

げっ、あれは・・・！

「みっ、みんな、送ってくれて、ありがとう！

もう家はすぐそこだから、ここでいいよ！」

私は慌ててみんなと別れようとする。

「どうしたんだよ、アーヤ。」

「せっかくだから、最後まで送ってくって。」

それは、あの、困る！

「う、ううん、いいの！

あの本当に、いいの。

それじゃあ。」

「あっ、彩おねーちゃーん！」

・・・。

見つかった・・・。

私に手を振りながら、こっちに走ってくる、

可愛い女の子。

危険度 ９９パーセント・・・。

「ら、良夢ちゃん、久しぶり・・・。」

「うん、ほんとだね！

遊びにきちゃった！」

にっこり笑った良夢ちゃん。

私の後ろに立っていたみんなに気付いた

みたい。

「わっ、すっごいイケメンさんたち！

彩おねーちゃんのお友達ですか？」

良夢ちゃんは、みんなを交互に見た。

「そーだよ。

俺ら、みーんな彩おねーちゃんのお友達。」

すっごい翼・・・。

こんな格好の子 とも、普通に

話せるんだ・・・！

「アーヤ、この子は？」

小塚君が、穏やかな視線を良夢ちゃんに

送った。

「あっこの子はその、まぁ遠い親戚

というか・・・。」

わー、通り過ぎていく人たちの

視線がっ・・・。

「とっ、とにかく、いったんうちに入って！」

パパとママは２人で出かけてるはずだし、

お兄ちゃんは部活の特別合宿中、奈子は

お友達の家にお泊まり会に行ってるから、いま

家は無人のはず。

預かっていた鍵でドアを開けて、即座に

みんなを家にあげる。

だって、このファッションの子 とは、あまり

一緒にいるところを見られたくない

から・・・。

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