第6話 よいちゃん ページ6
そんな中、ボールをダイレクトキャッチした双葉の少年だけが押し黙っていた。
じっと両手に収まるボールを一点集中してガン見している。そのことに気づいた俺は何かまずい事態でもあったのかと思い、黒髪の少年の方を見やった。
ばっ、と同時にものすごい勢いで黒髪の少年がこちらに視線を向けた。青い目がキラキラと輝いていて、でも白く柔らかそうな頬はみるみる赤くなっていくのが対照的だった。
「よっちゃん」と呼ばれた少年は他の3人など目に入らないと言わんばかりに、階段を駆け降りて俺の元へと走ってくる。そのスピードなら俺が蹴らなくてもボール取ってこれたんじゃないか、とツッコミが出そうになるがやめておいた。
少年は困惑する俺の手を取り、満面の笑みを浮かべて再び駆け出した。
「な、いっしょにサッカーやろ!」
「えっと……でも俺は」
「だいじょぶ! ぜったい、ぜーったいたのしいから! ねっ!」
少年に手を引かれるまま、気づけば俺はサッカーチームの一員となっていた。元気パワー爆発中の彼らはやれポジションチェンジだとか、次の“かんとく”はボクがやる、などなどルール設定に興じている。
完全に言われるがままされるがままで逃げ場を失ってしまった。言葉に詰まっていると、不意に「俺は潔世一! 4歳! きみは?」と問いかけられて、ようやく声を発する機会を得られたことにホッとした。
「……A。AA。きみと同じ年」
「A、よろしくな! いまから二人で勝ちに行こうぜ!」
「う、でも……。…わ、かった。いさぎくん?」
「世一でいいよ! 皆にはよっちゃんってよばれてるけど」
「……じゃ、よいちゃんで」
少年はニッと笑って俺の呼び名に頷きを返す。
幼稚園児らしくないと浮いてしまいがちだが、他人を苗字で呼ぶのは前世からの癖なので抜けない。
どちらを選択するか迷いかねて間を取ったのは事実だが、俺が誰かをあだ名で呼ぶのは初めてだった。
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そす(プロフ) - ハデスさん» 数あるブルロ作品の中から拙作を読んでくださってありがとうございます!! 私も時々読み返すくらいカイザーとのやり取りがお気に入りです! (8月25日 16時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
ハデス - 最高です!お疲れ様でした!個人的に評価10です!カイザーと男主のかけあいが最高でした! (8月25日 16時) (レス) id: 1608cd6270 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - いちごくりーむぱんさん» コメントありがとうございます! 最高の言葉が最高に身に沁みます! こちらこそ感謝です! (7月11日 23時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
いちごくりーむぱん - そすさんイベント参加ありがとうございました!遅くなり申しわけございません…!最高でした!私はそすさんと違って語彙力が無いのでwこんぐらいしか言えませんが凄い良かったです! 素敵な作品有り難う御座いました! (7月11日 22時) (レス) @page1 id: c0d0824301 (このIDを非表示/違反報告)
そす(プロフ) - りりり ( ´・ω・)(・ω・` )@多忙さん» コメントありがとうございます! こちらこそご愛読いただき感謝です! (6月3日 8時) (レス) id: 4547e6e600 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そす | 作成日時:2023年3月25日 9時