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変な声で振り返った私に笑いながら青いかき氷を手渡して隣に腰をかける片桐

ブルーハワイ派なの見抜かれてる。ちくしょう。




『…悔しいけどありがとう』

片 「来させたのは俺だからね」




確かにまぁ、片桐からのメッセージを見て交渉の末に今回海に来た訳だが、

いや、かき氷たかった訳じゃかないからね?

これは完全に彼の厚意





片 「……貸しといてなんだけど暑くない?」



不意にそう聞かれて視線を下に向けたがらぶかぶかのパーカーの袖を口元に当てる



『借りといてなんだけど独占欲強いのね』

片 「今更?」



白いパーカー
そう“白い”パーカー。

当然のように自分の隊服の色のパーカーを貸してきたのは紛れもなく今私の隣で悪戯な笑みを向ける眼鏡の人



こっちが交渉の本髄だ



今日の海水浴に参加する代わりにパーカーを借りる。
んでもって私は海に入らない。

彼とはそんな約束を交わした。





……なんでわざわざ借りたか?

それはもう体型を隠したかった以外ない。


悲しいほどに脂肪が付かなかった私の胸部
謎の下心を感じる思春期男子たち

この2つが揃った時点で水着なんて着たくも無かった。





けれど片桐が浜辺散歩するだけでもいいから出かけたいと申し出てくれたので甘んじて乗っかり今に至る




自分のパーカーを着なかったのは自分のパーカーより173cmの彼のを借りた方が圧倒的に身体が隠れるから




ここに来て156cmのやや低身長が役に立った。気がする




片 「……下心に気づくようになったんだな」

『出水に気付かされた』




最初はね、なんか男子達反応がいいなぁ程度にしか思っていなかった。

けど寝起きで確認した出水のメッセージの中には“集団が嫌なら2人でもいい”なんてものが




『それで“こっちが本音かぁ”って』

片 「分かりやすいな…」

『とか言う片桐も浮かれてたらしいじゃん』

片 「…………は?」




可愛い可愛い雪くんが連絡してくれた。

【海行くの〜!?】
【楽しんできて〜】
【あとうちの隊長浮かれてるから気をつけてね〜一応男だから!】




片 「……雪丸っ、」

『片桐が“それ”なら確定であと1人浮かれてる人いるからね』




あ〜そうそう。
ちょうど今こっちを凄い睨みつけてるあの美形。


手を振ったら振り返してくれたが、近くにいた同世代ぐらいの女の子たちが一瞬で色めきだった。




まぁ分からなくもないけど、













___私を変な気分にさせてるのは違う人なんだよなぁ

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作者名:八月蝶 | 作成日時:2023年3月16日 16時

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