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『ちょっっっっと、待って、』

「うん、ごめんな……」

『いや片桐のせいでは無い』




自分達の出番を終えてもう一度舞台袖に捌けると、何故か気まずくなってしまった

顔の火照りが収まらないらしい彼女は一向にこちらを向いてくれない

_____それが少しだけ寂しかった




「……おいで」

『ん、』



暗くて周囲が見えにくい舞台袖。
学校の備品が置かれていた事により生じた死角に彼女を誘えば、素直に着いてきてくれる

完全に周囲の死角に入ったことを確認してその身体を抱きとめれば、彼女は文句1つ言わず抱き締め返してくれた



「なぁ、」

『ん?』

「名前で呼んでもいいか?」



この温もりを離したくない
コンテストが終わっても彼女の傍に居たい

そんなわがままばかりが頭を過ぎる



『お好きにどーぞ。』

「ありがとうA」

『ん。』



照れているのか返事が素っ気ない割に密着度が増した。


その仕草に抑えていた愛おしさが煮えくり返る程溢れ出し、否が応でもそれが自分の本心である事を教えてくる




「(奈良坂、ごめん)」




やっぱり俺はAが好き。


愛おしくて、大切で、特別なたった1人の存在。


他の男に渡すなんて出来そうもない




『ねぇ片桐』

「どうした?」

『雪くんがいっぱい居た』

「ふっ、ははは、そうだな。雪丸だらけだったよ」




きっと自分を落ち着かせるために言っているんだろう



……けど。
あの場にいたのは大勢の雪丸ではなく、
六頴館の全校生徒


だからこれから起きるのは雪丸の勘違いでは無く、
色めき立った俺達の噂話




「…後夜祭のダンスの相手は決まってる?」

『ん〜、うん。』

「そっか」




せっかくならこの文化祭と言う思い出の最後を彼女と共に過ごしたかった。

けれどしょうがない。
奈良坂の威嚇に負けて逃げたのは俺。
この悔しさを今後は味わわない様に肝に銘じておこう












A

















すきだよ



















_______________
作者です。
奈良坂、片桐回終了しました。以前のアンケートはここの2人も同票だったんですよね……
複数の泥沼試合ストーリーを執筆していますが、何かとこの2人の冷戦が好きな作者でした

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作者名:八月蝶 | 作成日時:2023年3月16日 16時

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