19.お先真っ暗 ページ19
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｢他者の縄張りに近づくとかどんな神経しとんねん｣
｢…すみません｣
｢ほんまに…Aは弱いんやから、勝手な行動はしちゃいかんよ｣
｢…はい｣
人狼屋敷までの道のりは地獄のようだった
延々と続くロボロさんの説教
声色こそ優しいものの、言い方にやたらと棘がある
相当怒っているに違いない
そして、なにより怖いのがゾムさん
野犬屋敷を出た時から一言も喋らないのだ
黙々と前を先導し続けるゾムさんと、常に私の真横をキープするロボロさん
逃げることはもちろん、寄り道すら許されなかった
__
｢A、アイツらに何された？｣
｢…助けてもらいました｣
屋敷に着き、無理やり連れ込まれたのは薄暗い地下の密室
入り口を塞いだロボロさんに質問を投げかけられた
｢その…逃げるつもりは無かったんです。ただ、帰り道がわからなくなって探していた時、シャオロンさんに遭遇して…｣
｢なんで頼らなかったん？｣
一生懸命練った言い訳を披露していると、ずっと黙っていたゾムさんが口を開いた
彼の口から発せられたとは思えないほど低い声
思わず息が詰まりそうになる
｢の、呪いが発動しました…｣
｢…へぇ｣
…間違ったことは言っていない
一言返事をした後、静かにこちらへ近づいてくる
体が密着しそうになり後退るが、なおも距離を詰めてくるゾムさん
ぐいぐい押され、とうとう背後の冷たい壁にぶつかった
｢俺は信用してたんやで、Aのこと。一生懸命走ってたのも、近づいたら一生懸命息を殺してたのも、ニンゲンの遊びやと思って態と見逃してたんや｣
｢ぁ……｣
圧倒され、声を発することすら儘ならない
最初から、ゾムさんには全て気づかれていたのだ
｢…全部俺の責任や。悪いけど、Aの行動は制限せなあかん｣
いつの間にか隣にいたロボロさんが、静かに呟いた
じゃらり、と金属の擦れ合う音
｢それは…｣
｢こんなことしたないねんけど、今のAは信用できへん｣
…猟犬用の鎖だろうか
どこで手に入れたのかはわからないが、錆一つない銀色の輪の部分には鍵穴が付いていた
まさか…と思ったころにはすでに手遅れ
不快なほど軽々しい施錠音が部屋に響いた
｢…反省せぇ｣
｢ま、待ってください！｣
感情の籠っていない言葉を吐き捨てられる
必死に引き止めようと二人を追うも、首に閉塞感を感じて蹲る
心を灯す蝋燭が、その一瞬で吹き消された
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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます！不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします！！ (2022年7月27日 20時) (
レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます！応援とても励みになります！！ (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです（？） 更新頑張ってください！！！ めっちゃ応援してます！！！！ (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます！ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：へる | 作成日時：2022年6月24日 0時
