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18.正体 ページ18

.


「…狭間の森?」


何やそれ、と態とらしく首を傾げたシャオロンさん


急に目が泳ぎ出し、露骨に動揺を見せる


…本当に知らないのか?



じっと怪しんでいると、流石に辛くなってきたのか溜息を吐いて知っていると自白した


「知っとるけど……あの森は危険や、絶対行くなよ」

「シャオロン、そんなムキにならんでもどうせAは辿り着けんよ」


後ろから嘲り笑う声が聞こえてきた


風呂を終えたコネシマさんが、ニヤニヤしながら私の前に立つ


「A、狭間の森っちゅうのはな、"世界を繋げる境界"のことや」

「なんで言うねん!」


…薄々勘づいていたが、シャオロンさんが隠すということはやはりその類だ



境界。つまり、現世で迷い込んだあの奇妙な森こそ"狭間の森"の正体


特徴もよく覚えているため、辿り着けば一瞬でわかるだろう



「……」

「…ほら見ろ、Aから逃げたそうなオーラが出てきてもうたやんけ」


失いかけていた光を取り戻し、明日への希望が見えてきた



__


ドンッ


ひと段落ついて、大分落ち着いてきた矢先


突然庭先から鈍い音が聞こえ、思わず肩が揺れる



バリバリバリ…


数秒後、綺麗な装飾のされた障子が突き破られた



そこに現れたのはなんと……ロボロさんだった


「クソ犬、Aを返せ」

「…よぉチビ、Aは俺のもんや」


見せつけるように抱きしめられる


ロボロさんのこめかみには、遠目からでもはっきりと見える青筋が立っていた



…見つかってしまった


いよいよ本格的に詰んでしまうかもしれない


額に汗を滲ませ、なんとか打開しようと思考を巡らせる


しかし、考える間も無く今度は玄関口の方からゾムさんがやってきた


「…邪魔や、どけ」


シャオロンさんを容易く払い退けて、体を引っ張られる


強く抱かれ、骨が軋む音がした


「無事でよかった……マジで寿命縮んだわ…」


震えた声で安堵するゾムさん


彼の首には、私がつけていたものと瓜二つな勾玉が掛かっていた


…多分、私の身につけていたそれが滝壺を示して、嫌な考えがよぎったのだろう


よく見るとゾムさんの髪は若干湿っている



「…A、帰んで」


いつぞやの既視感


ゾムさんに優しく手を差し出される


逆らうことなどできず、大人しく彼の手を掴んだ



「A…? コイツらの所でええんか?」


雨に濡れた子犬のような声で、未だ引き留めようとするシャオロンさん


…彼の方に振り返ることはできなかった

19.お先真っ暗→←17.待った無し



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へる(プロフ) - るんぱっぱさん» コメントありがとうございます!不定期ですがこれからも応援よろしくお願いします!! (2022年7月27日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
るんぱっぱ - めちゃくちゃ好きです!!!更新待ってます!!! (2022年7月27日 18時) (レス) @page21 id: c984097aec (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - きうさん» コメントありがとうございます!応援とても励みになります!! (2022年6月29日 20時) (レス) @page11 id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)
きう - あ、すごい好きです、はいw めっちゃもう好きすぎて爆発しそううです(?) 更新頑張ってください!!! めっちゃ応援してます!!!! (2022年6月28日 0時) (レス) @page10 id: 9c9fedb973 (このIDを非表示/違反報告)
へる(プロフ) - 宮村さん» コメントありがとうございます!ストーリー気に入ってもらえてとても嬉しいです😊 (2022年6月25日 20時) (レス) id: 0fe9e0073c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:へる | 作成日時:2022年6月24日 0時

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