俺に落ちるまで 【及川 徹】

47話 ページ48

矢巾君との会話を終えると、トーク画面に誰かからメッセージが届いた。多分きっと矢巾君が私のLINEを及川さんにあげたんだろうなと思いつつもそのトーク画面を開き、名前を見ると"及川"と表示されていた。そしてこう書かれてあった。

及《やっほ〜！及川さんだよ！ごめんね、Aちゃんに聞こうとしたんだけどタイミングが中々なくて矢巾から聞いたの！》

あ｢…｣

一応友達追加をタップし、及川さんに私も返信した

あ《いえ、全然大丈夫です。昨日はラーメンを奢って下さりありがとうございました》


昨日は結局及川さんが皆分のラーメンを奢ってくれた
私が返すとすぐに返ってきた

及《大丈夫だよ〜！ほんとはAちゃんだけだったんだけど、及川さん優しいから皆の分も奢ってあげたんだよね〜》

多分、心の中で思っていればとてもかっこいいんだろうなと口が裂けても言えないと思った私は画面越しに苦笑した


及《明日もAちゃんのクラス行くね！》


いつものようにクラスに来ていた及川さんに、私はマネージャーをやりますという事を伝えようか迷っていた…

どんなに日にちが経っていても待ち続けてくれている及川さんに早く応えを出さなきゃいけないと分かっていても今の自分が本当にマネージャーという責任感のある役を私が務めてしまってもいいのだろうか…さっきまでの自信に満ち溢れていた自分がとても嫌になった

こんなにも自分の情けなさに何一つ変わらず弱いままの私は昨日"変わる"とれいかちゃんに言ったばかりだというのに、逃げてばかりの私はまだ逃げるの？と自分に問いた

怖い、辛い、苦しい…そんなの中学の時に嫌という程味わった
でも、及川さんという人に出会ってから私はあの人みたいに"笑いたい"と、どこかで思っていたのかもしれない誰にだって優しくて部員の後輩の人達にも自分が先輩という風格をしっかりと務めているそんな及川さんに憧れてたのかもしれない

毎日体育館に行って及川さんのバレーを見ていればすぐに分かってしまうあの人の優しさ。後輩が悩んでいるとすぐに駆けつけて一緒に解決しようとしてくれる及川さん。誰かがミスっても絶対に責めたりはしない及川さん。私が困っている時はいつも助けてくれる及川さん。


多分私の中では、もう答えが出ているはず
ほんとは、彼らと一緒にバレーをやりたい。そして、支えたい。彼らの為に役に立ちたい。一緒に汗を流して戦いたい。試合で負けた時は彼らを元気づけたい。もっと傍で応援したい。

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