106話 ページ8
はっ、と我に返り治を見ると目を丸くして固まっていた
しまった、やらかしてしまったと思って必死に違うと言おうとした時治が悲しい顔をしたのを私は見逃さなかった
あぁ、私はこんな大切な友達をこんな顔をさせてしまったことへの後悔と言わなければ良かったという気持ちと直ぐに謝らなきゃという気持ちに駆られた
あ｢ち、違う、ごめんっ｣
慌てて治に謝ると治は何も言わずに俯いていた
治｢無神経なこと言うてお前を追い詰めて悪かった｣
な、んで…治が謝るの？
謝らなきゃいけないのは私なのに…
"たかが部活でしょ"
こんな時につっきーの言葉を思い浮かんでしまった
人は逃げたいと思った時、思ってない言葉を見つけて誰かのせいにして楽になりたいと願っている
あ｢…ちが、｣
治｢こっから近いんよな？家｣
あ｢え？あ、…うん｣
治｢そか、せやったら気をつけて帰りや｣
治なりの気遣いか、今は1人になりたいという気持ちが出てしまってたんだと思う
ごめんねって言えばよかったのに、たった一言言えばよかったのに…
そんな気持ちを胸に私は帰路へと急いだ
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＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
家に着いた私は今の嫌な気持ちを洗い流すように風呂へと直行した
あ｢…｣
洗い流しても全然取れない、消えない、
治のあの顔が忘れられない
"たかが部活でしょ"
つっきーのあの言葉が脳裏で焼き付けられてずっとリピートされている
私は変な所頑固で、素直で、誰にでも隔てなく優しいって黒に言われる
でも、
1人で抱え込む所とか、1人で解決しようとか、全部自分でどうにかしようとすんなって…いつも言ってくれる
あ｢でも今は、すごく遠いいじゃん｣
私だけ1人なんだよっ…
"は？兵庫？遠距離恋愛なんて絶対別れるって"
東京を経つ前に音駒の仲のいい友達に言われた言葉
"会いたいって思う時に会えるそういう彼氏が傍にいてくれると安心するよね"
そんなの私が1番知ってるし、今実感してるし…
黒は今年受験生だから、遅くの電話のやり取りは出来ないし、部活もやってるから尚更できない
何より、選手の体に疲れを感じさせたくない
黒は優しいからいつでも電話しろよなーなんて言ってくれたけど、黒の頑張ってる姿とか、主将としてみんなを引っ張ってる姿とか、いつも自主練して朝早くから来てるとか、人より倍頑張ってる黒に私で重荷になって欲しくなかったから…
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渚(プロフ) - マネの仕事が中途半端すぎる気がするかも、でもきゅんきゅんするので読んでて楽しい！ (2022年9月11日 20時) (
レス) @page7 id: 4b6b08afa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆん | 作成日時：2021年12月31日 15時
