134話 想いを告げる少年 ページ44
「なぁA、この辺暗すぎると思わないか?」
「今日は曇りだし、林の中だから仕方ないでしょ」
先程から林の調査をしているのだが、特にこれといったものは見つかっていない。
この林の現状を一言で言い表すなら、真っ暗。密集しているため木漏れ日が届きにくく、その上
曇りなのでより暗い。そもそも、木の幹と葉が暗い色なのだ。
こんな林よりも、秘密基地がある森の方がよっぽど明るいだろう。
日光が漏れる木々を見上げていると、だんだんモノクロに見えてきてしまう。
「ホント真っ暗だよな」
「うん。マジで何もないよこの辺」
「じゃあAの好きな人教えろよ」
「どういう流れでそこに辿り着いたの」
「暇で暇で仕方がなかった結果だよ。いいだろ、みんないないし」
さて、どうしたものか。また一矢がとんでもない事を聴いてきた。
今まで、澪あたりに「告白しろやー」と散々言われてきた私。
直接言うべきか、はたまた友達に頼むべきか。少なくとも今言うべきではない気がする。
どうしよう、いないと嘘をついてしまおうか。
「いないけど」
「そ、そうか……」
私はそう言って、何気なく土から盛り出している木の根の上に乗った。
そして、先程の会話を鮮明に思い出そうとする。
さっき私が一矢に"いない"と言った時、彼はただ私の言葉に興味を無くした様ではなく、残念そ
うな様子だった。しかしその表情は、まだ希望を失っていないと言いたげだ。
一矢は私以上に、感情が顔や声に出やすい。この性質があだとなって出なければいいが。
「あのさ、もし本当に好きな人がいないなら、Aに言いたい事があるんだ」
一矢の声がして、私は彼の方を振り向いた。
彼の方はうつむいていて、表情がよく見えない。
私は木の根から降り、中学生になった頃からなんとなく惹かれている彼の元へ駆け寄った。
その声を聴かせてほしいと、理解できない感情にうながされるまま。
「……俺、Aが好きだっ!!」
「えっ!?」
急に顔を上げた少年が言い放ったのは、愛の告白。
緊張からか、ほんのり赤く染まった白い頬。
焦げ茶のまっすぐな瞳から、その覚悟がひしひしと伝わってくる。
しかし、あまりにも急すぎたので、私の反応が見事に遅れてしまった。
「ただ、それだけ…… 返事はまた後でいいからさ」
そして、一矢は顔を赤らめたまま、私を置いて林の入り口へ歩いて行ってしまった。
どうしようこの状況。
ラッキーカラー
あずきいろ
勿忘草の丘 *作成話 &・つぶやき
・中二病って難しいけどかっこいいんです
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さやや - やはりそうきましたか…(^∇^) ヒントもあるのでじっくり考えてくださいよ〜 (2017年4月3日 22時) (レス) id: 5be7de8890 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - キャラクイズは3番で!2番と迷いましたー(笑) (2017年4月3日 19時) (レス) id: c42f2bb75a (このIDを非表示/違反報告)
さやや - 頂志桜(サム)さん» そろそろ3.から4.に移りそうなので、今回の番外編では後から入ってきた人達の設定等を公開したいと思います。またキャラ選挙もやりますね〜 d(^_^o) (2017年3月31日 23時) (レス) id: 9fc94228fe (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(サム)(プロフ) - さややさん» 大変ですね……ご心労お察しします。根気よく頑張ってくださいね。応援してます! (2017年3月31日 22時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
さやや - 頂志桜(サム)さん» 文字化けですね…… 百合亜さんのお父さんの名前は龐で、ミチルと読みます。満の方に変更しようと思います。繫木の方はどうしても変更するわけにはいかないので、見つけ次第直すしかないですね…… (´Д` ) (2017年3月31日 22時) (レス) id: 9fc94228fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さやや | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8211/
作成日時:2017年2月4日 10時