勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

111話 幼馴染と見習い魔導師 ページ21

「うん。アレンってさ、なんか一矢に似てない？」

「あー やっぱりか。私も初めて会った時、一矢の姿の人形かと思ってさー」

「ふっふ〜 小さい間にもっと可愛がればよかったのに。もったいないことしたわねぇ」

「何かよからぬ事を企んでおるな貴様ら」



澪が私に問いかけて来たのは、私に魔法を教えてくれた、見習い魔導師のアレンの事だった。

一矢とアレンの姿があまりにも似すぎているのだという。

やはり私の目は間違っていなかったようだ。

「愛する幼馴染とそっくりな小人がいるのよ〜？」なんて言う紗羅は放っておく。

二人を前に考えてみれば、たとえ小人だったとしても一緒の部屋で寝るなんて、危ないことこの

上ない。アレンはもう自由に体の大きさを変えられるし……

うーん、叔母さんが物置となった空き部屋を整理してくれたらしいから、もう少しの辛抱だ。

ここまで堪えたアレンの理性も中々のものである。



ここに来てから若干ファンタジックになった澪は、アレンが未来から来た一矢で、何かを変える

為にここにきたのではないかという。

お嬢…… ミリヤさんの頼み事の件は、これでつじつまが合うかもしれない。

しかし、問題は本当に同一人物なのか、何処から来たのかということだ。

未来から来たと言われても、アレンと一矢にそこまで年齢差があるとは思えない。

近いうちに何かが起こるというのだろうか。



「A達、早く屋敷に戻ろう。もうみんな行っちゃったよ？」

「え、ごめん！」

「早くみんなの所まで行こー！」



第一、一矢とアレンの性格の差は何だ。数ヶ月の未来の間に何があった？

髪色と目から考えると、世羅のような特殊型でない限り変わるなんて事はないだろうし……

本当に何なんだ？



「A？」

「あ、待たせてごめん。行こうか」

「うん！」



私はアレン達と共に屋敷へ戻り、しばらくそこに居座った。

こうしてフェアヴァルト家を眺めていると、日之影家や中学生組にも負けず劣らずの個性豊かな

方々が勢揃いしており、見ていて飽きない。

新米メイドのアスターさんは天然ボケ、執事業５年目のバトラーさんは天然タラシ、主君である

ミリヤさんは天然のドジっ子。とにかく天然。しかも皆さん悪気がない。

あぁ、この比率は異常だ。



そして、午後３時半頃に元の世界へ帰った。

無事に帰れて良かったと、私は胸を撫で下ろす。

あと少しは、ゆっくりしていられそう。

112話 魔術の名称勉強会→←110話 中二病騎士系女子

ラッキーカラー

あずきいろ

勿忘草の丘 ＊作成話 ＆・つぶやき

・中二病って難しいけどかっこいいんです

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す