勿忘草の丘 ３.【オリジナル長編小説】

112話 魔術の名称勉強会 ページ22

元の世界へ帰った後、私は紗羅と魔法練習混じりの女子会をしている。

私の家に上がっているのは、紗羅、澪、百合亜さん、世羅、一矢、勇助の六人。

多分、百合亜さんはここにくるのは初めてだろう。

いつもの様に、叔母さんは私達を家の中に入れてくれた。

ここまで気前がいい様では、詐欺師の被害にあっていないかとても心配になる。

数週間ぶりに会うはずの澪には、今までのように話しかけようとしない。去年のスキーで雪焼け

した頬が眩しいあの叔母さんですら、澪のことはもう覚えていない。

澪のことをきいても、「見覚えがあるんだけどね……」と言って叔母さんは困った顔をする。

いいんだ、思い出さなくても。

私の友達がまたひとり異世界の関係者になった事で、叔母さんに心配かけたくないから。



「……エクスプロージョンは化学や核反応によるエネルギーの激しい放出の事よ」

「そうそう、ゲームでは炎の爆発とかが多いよな！」

「うわぁ、休日に勉強とかマジありえねぇ」

「ゲームに関する話なんだから別にいいでしょ」



３時２０分頃、超博識な百合亜先生と特殊型双子のもとで、この間断念した魔術の名前しりとり

をやるための勉強会が始まった。勉強会と言っても、魔法の名称と意味を軽く教えてもらって、

それに特殊型弟が付け足すぐらいなんだけど。

とりあえず私は、"勉強"という言語が大嫌いな一矢を"ゲーム"という言語で引き止めた。

その言葉に反応した一矢は、暗い顔から明るい顔に一転させて、百合亜さんの話を聞く。

私だって、ゲーム関連じゃなかったら絶対に飽きているだろう。学校とかのテストではいい点が

取れても、勉強自体はみんなと同じ様に嫌いだから。

えっと、紗羅についてはもう完全に頷いているだけ。たまに「ふふ〜」とか言ってる。



勉強会が終わった後の皆さんの様子は、一言で言い表せば「何をしとるんじゃい」だと思う。

いや本当に、本当に「何をしとるんじゃい」なのだ。

百合亜さんは、暇を紛らわすかの様に魔法で人形のような物を作って飛ばしている。

紗羅と澪は、私と一緒に女子会をしている。

男子三人は…… 何をやっている。



「俺、剣術やってカッコよくなりたい」

「え、一矢って好きな人いるの？」

「何故そうなるし！？ 極秘だし！！」

「フハハハハハ、個人の問題なら極秘だろうが関係ねぇ！ 白状しろー！！」

「ぎゃぁぁぁぁぁ」



……何をやっているぅ。

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