【銀魂】シチュエーション【短編集】

銀さんと日記帳(中)の(上) ページ9

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事故に遭ってからの最初の１ページにはこう記されてあった。

『9月16日
私の名前はAと言うらしい。この日記の前のページを見て分かった。
交通事故に遭い救急搬送され、頭の手術を受けてから三日目の今日。
目を覚ました時には、以前の記憶は全て忘却していた。
ひき逃げされ意識を失ったまま倒れていた私を、病院へ連絡してくれたのは坂田銀時という名の男性らしい。
彼は、見ず知らずの私に無事でよかったと何度も言ってくれた。命の恩人だ。明るくて気さくで冗談が面白い人。』


それから一日置きにしっかりと記されている。

『9月17日
私は今初めてこの日記を見ている。
昨日の記憶が全くない。お医者様が言うには、前向性健忘症の一種かもしれないらしい。
つまり、眠る度にその日の記憶が無くなるため、一日限りの何とも要領の悪い頭になってしまったのだ。
どうやらさっき会った銀さんという人は、昨日も来てくれていたようだ。
彼は事前にお医様に健忘症の話を聞いたらしく、たぶん彼にとっては二回目の自己紹介をしてくれた。
銀さんは万事屋を営んでいるらしく、私は暫くお世話になる事になった。
家族が分からないと、私を助けてくれた銀さんが治療費などを負担する羽目になるそうだ。
今は私の保護者的な立場でいてくれているらしい。申し訳ない。そしてありがたい。』


『9月18日
驚いた。まさか一日で記憶が無くなるなんて。
これを書いた記憶が一切ない。
そして昨日に書かれている銀さんという人が来た。これを読む前に来たから、初対面の対応をした。
彼は少し困った顔をしていたけど、そういう事だったのか。そして三度目の自己紹介をしてくれる優しい人だった。
私の家族はまだ分からないらしい。彼が今捜索してくれている。そしてたまたま彼がくれたミルクティーに私はハマってしまった。
頭が痛い、頭の治療はまだ続くらしく、もう暫くは入院しなければいけないそうだ。』


『9月19日
どうやら、彼は今日も来てくれたらしい。私は初対面だと思っていたけど、これを見る限り4回も来てくれていた。
家族の事は何も言わずに、ただ万事屋を営んでいて、様子を見に行って欲しいと言う依頼を受けた、と言っていた。
さすがに４回も自己紹介するのは面倒だもんね。
家族の事を話さなかったのは、たぶんまだ見つかってないんだろう。初対面だと思ったからさっさと帰してしまったけど、申し訳ないことしたかも。明日来てくれるんなら、会う前にこれを読まないと。』


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