銀さんと最後の日(上) ページ1
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「A、星が綺麗だな。」
鉱石を砕いて散りばめたような満天の夜空の下、ベンチに座る銀さんが静かに声をかけた。
「星より銀さんの方が綺麗です。」
「...気色わりー事言うの止めろって言ってるだろ。
俺は口先だけで落とせるようなBB弾みてぇなタマじゃねーんだよ、金塊でできた珠玉なんだよ。」
「ちょっと恥ずかしいんですね、そんな銀さんも素敵です。」
「何!もう何なんだよ!俺が憎くてわざと言ってんの?!頼むから俺を褒めるの止めてくれって。」
「私のこの薄っぺらい口にうんざりするのは重々承知してますけど、」
「ほんとかよ、なら直ちに口を慎んでほしいわ。お前は俺の言葉に相槌打っときゃいいんだよ。」
少し間隔を置いて座る私達に、柔らかい夜風が撫でる。
「でも今日が最後なんですから、最後まで言わせて下さいよ。」
「やなこった、似たり寄ったりなセリフもう聞き飽きたってーの。耳にタコができらァ。」
「銀さん......それでも耐えて下さい。
飾りのような言葉にしか聞こえないかもしれませんけど、それは私が照れて上手く気持ちを乗せられてないだけです。」
「気持ちね、そんじゃ気持ちだけ受け取っとくわ。」
深くため息を着くその音だけが聞こえて、銀さんがどんな顔してるのか暗くて分からない。
「毎日言っても適当にあしらってたくせに、今日だって同じ様にあしらえばいいじゃないですか。」
「今日は、いつもの今日とは違ぇだろうが。あんまりうるせぇとジッパーで閉じるぞ。」
「.....銀さん男前、色男、いざと言う時頼れるカッコイイ人。」
「お前なぁ分かってる?命日なんだぞ、俺の事ばっか喋ってんじゃねぇよ。遺言それでいいのか?そんな言葉で人生を締めくくっていいのか??」
「はい、銀さんに私の気持ちを余すこと無く伝えたいので。」
「もう、十分....伝わってんだよ...伝わりすぎてゲロ吐きそうなくらいな。」
「ゲロを吐いても、何をしてても、どんな時でも、私が死んでも、これからもずっと、貴方は素敵な人でしょうね。」
冷えてきた頬にふと温かい滴が伝うのを感じた。
(好き。
このたった一言を口にしてしまえば、
彼を困まらせてしまう。)
それだけだった。
私が銀さんを褒めちぎる理由なんて。
褒める事で、愛情を伝えたかった。
所詮短い命なのだから、もしも、もしも両想いになれたとしても、こんな悲しい結末はない。
それなら言わない方が未練も残らないと思った。
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のと丸(プロフ) - メローネ大好き少女さん» 誠に申し訳ありませんが、ただ今リクエストは受け付けておりません。ご了承願いますm(_ _)m (2019年8月20日 1時) (レス) id: 73b1ba17eb (このIDを非表示/違反報告)
メローネ大好き少女(プロフ) - リクエストよろしいでしょうか?男になった月雄を見て目を合わせられない夢主にどんどん迫ってくるのと月雄が入浴中の夢主を襲いに行くのをよろしくお願いします!分かりづらくてすみません (2019年8月20日 0時) (レス) id: d4923716c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年8月16日 5時