狩られる者。② (ページ15)

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第三章第五話ページ15

「A！」

「無理無理無理！！本当に無理！！」

今、なんと私はヒソカの腕の中。
いや、本当に無理。

「早く念を覚えて戻っておいで♧さもないと♡」

「ひぁ！」

私の上着の中に手が入ってくる。
離れようとしてもピンク色のオーラは一向に剥がれない。粘着のあるゴムのようなそんな感じだ。

もし、今日登録出来なかったらゴンはまた一階から挑戦出来るけど、キルアは以前登録を断ってるから参加自体不可能らしい。

「ウイングさん！二人連れて！早く！！０時までに戻ってこれるでしょ！？二人なら！」

「....この子達次第だ。」

「もうちょっと待っててね！A！」

「....っ！！すぐ助けるからな！」

三人はエレベーターに乗って行ってしまった。

お姉さんも受付に戻っていき二人だけになってしまう。背中からはくくくとヒソカの笑い声。傍から見たら公共の場で座り込んでいちゃついてるようにしか見えないから！

「ヒソカさん...逃げないことをここに誓うのでその粘着物を取って下さいお願いします。」

ヒソカはあっさり「いいよ♡」なんて言ってそれを取る。私はすぐにヒソカから離れた。横に座ったと言った方がいいだろう。

「さっきの何だったんですか？」

「これはバンジーガム、僕の念能力でガムとゴムの性質を持つ♤」

へー、凄いですねと棒読みだが、内心は本当に凄いと思っている。
あれ、全然剥がせなかったからだ。シンプル・イズ・ベストとはまさにこれ。

「帽子...外したんだね♡」

「はい。合格したら外すと決めていたので。」

「狙われるんじゃない？」

「いえ、思ってたよりも....。寧ろ珍がられます。皆、一角族のあの事件をもう忘れたんですよ。てか、知らない人もいるんじゃないですか？」

だからこうやって私が町に現れてもなんとも思わないのだ。賞金稼ぎとかカタギじゃないやつらは目が違うけど。

「僕は君のこと狙ってるけどね♡」

「へー、そうですか。それは大変ですね。」

つれないねぇと言いながらもニコニコするヒソカ。
ヒソカは手元にあったトランプを壁に投げて刺しながら私に聞いた。

「君、イルミと友達になったんだろ？イルミから聞いたよ♤」

「イルミ...アイツ....。」

「僕も友達になってほしいなぁ◇そしたら敬語もさん付けもなくなるだろ？」

「心の中では呼び捨てタメ口ですけどね。」

プイッとヒソカから顔を背ける。
ヒソカはトランプを投げるのをやめ、そのトランプを私の首元に突き刺した。