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『中也はさ、異能の強化形態的なのがあるんでしょ?』
「中也さんだろうが。年上を敬え」
『私の話聞いてる?』
「手前がな」
首領の粋な計らいにより、太宰の直属の部下だった此奴は俺の部下となった。
四つ年下のくせに生意気な態度に口調。
だが、昔から知り合いだったため癇に障ったりはしなかった。
『で?調子に乗ると制御きかなくなるの?』
「云い方に気ィ付けろ。まぁ正直、あの青鯖がいねェと使えねェな」
『はーん、そうなんないことを願うけど、もしそうなったら、私が殺してあげるよ』
ふざけた返事に俺も彼奴も笑った。
二人きりの短期出張任務。
俺と彼奴の二人での初めての任務だった。
「そういや、お前、異能は?」
『異能ねぇ』
彼奴ははて?、とふざけた顔をした。
その顔にあまりにも腹が立ったから頭に一発げんこつを。
頭を抑えて転げ回る其奴に、心から笑ったのは嘘じゃない。
『とまぁ、私の予想が正しければ、敵がここを通過するまであと三十秒』
「そうか」
突然真剣な面持ちになり、口を開けば太宰のような予測。
敵の通過と共にこだました銃声。
寸分の狂いもなく打ち出された銃弾は一つの命を奪った。
立ち上がった彼奴は、振り向きざまに俺に云う。
『異能はある。だけど、戦闘には必要ない』
その時の彼奴の顔が、今でも忘れられない。
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あ2み(プロフ) - すっごく深いお話ですね、思わず泣いてしまいました。文才もあって内容も素敵で読みがいがあります。素敵な作品ありがとうございました! (2018年1月21日 19時) (レス) id: a91b06e269 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - とても素敵なお話でした!ジーンと来ました! (2018年1月21日 10時) (レス) id: 01d2c8bc81 (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - いい話で泣いてしまいました! (2018年1月21日 9時) (レス) id: 4724cc677a (このIDを非表示/違反報告)
★★ - とてもいいお話でした!!(つд⊂) (2018年1月21日 4時) (レス) id: 800725f97d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろろみや。 | 作成日時:2018年1月20日 22時