42 リア充 ページ42
「あれ？それ体育祭の写真？」
「うん。」
早速私の部屋に入ってくる淳弥くん。
私が持っているそれを後ろから見る。
そう、“それ”とは高校の体育祭の写真だ。
体育祭の写真は文化祭の時に写真部の展示会で見られるようになっていた。更に購入することも。
「…って俺の写真ばっかじゃん。」
「あはは。なんか無意識的に…。」
1枚1枚見ていくと、淳弥くんが写っている写真ばかりだ。
当時、恋愛感情なんて1ミリもわからなかったけれど、今考えてみればこの時から好きだったのかもしれない。
「無意識って…。逆にAの写真ほとんどないけど。」
「私写真苦手だから。一緒に写る友達もいなかったからね。」
と、あまり良い思い出はなかった。
学校行事はぼちぼち。サボりたかったけれど。
「Aはさ、学生時代は楽しかった？」
「まあまあ。」
「うああぁあ……。」
「ど、どうしたの。」
するとその時、彼は小さく叫びながらその場にしゃがみ込む。
そしてこう言った。
「もっと俺、積極的に動いてAに告白してリア充になって…2人の写真とか撮れたのになってすごく後悔してる。」
と。
「り、リア充…。」
「過去に戻りたい…。」
「…私も友達作ればよかったなぁ。」
後悔はたくさんしている。
でもその後悔は過去のもので、もうどうすることも出来ないのが現実。
それから少し話をして、家に帰ることにした。
「お母さんまたね。」
「次は結婚式でね。」
「けっ…！？」
「はい。」
「ちょ、淳弥くん！？」
玄関で挨拶をするが、私が2階の部屋に行っている間に淳弥くんたちはもっと仲良くなっているような気がする。
「A帰るぞ〜。」
早々と助手席に座る彼。
「運転するの私だけど。」
「俺は寝るかなぁ。」
「助手席め…。」
もう…と私は肩を落とし、運転席へ。
「淳弥くん。」
「んー？」
今言うべきなのかはわからなかった。
でも言わなきゃ、と思った。
「私と、…幼馴染でいてくれてありがと…。」
「…。」
「っわ。」
淳弥くんはくしゃ、と私の頭を少し乱暴に撫でる。
「もう“幼馴染枠”じゃないよ。」
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作者名：のん
| 作成日時：2021年8月15日 19時
