41 突然 ページ41
それは突然だった。
「A、実家に帰るよ。」
「え。」
家でいつも通り彼と一緒にご飯を食べていた。
「あ、美味しい」「自信作だよ」と他愛無い会話をしながら。
その中で、だ。本当に突然だった。
淳弥くんは言った。“実家に帰るよ”と。
私はご飯を食べるのを止めた。
「だって結婚してまだ会っていないから挨拶はしないと。」
「そうだね。言われてみれば…。」
そう。私たちは幼馴染で、親もとても親しい。
そういうところもあって籍を入れることとかは全部携帯を通して伝えていたのだった。
今思えばこれはおかしいのだろうけど…。
「でも実家となると日帰りになるよね?」
「あー俺のアレルギーね。」
淳弥くんの実家では猫を飼っている。
彼は猫アレルギーであるので、泊まりはせずに日帰りとなる。
「とりあえず私、今度の休みに実家に行くっていうこと伝えとくね。」
「ありがと。」
次の休みは特に予定もなく、時間もたくさんある。
早速私は母に“今度の休みに淳弥くんと家に帰るから”とメールした。
するとすぐ既読がつき、“わかった”と返事が来た。
*
休日。
私たちは先に淳弥くんの両親へ挨拶に行った。
と言っても、私たちの家は隣同士なのだ。
そして「よろしくお願いします」と挨拶をしてから、私の家へ向かった(隣)。
「A、淳弥くん久しぶり!」
「ただいま。」
「お久しぶりです。」
もちろん私が運転をして、実家に帰ってきた。
(彼は助手席でのんびりと携帯をいじっていた)
ピンポーンとインターホンを鳴らすと笑顔で母が出てきて、それからすんなりと中へ入る。
リビングには父もいた。
私たちはソファに座る。
「それにしてもどう?Aは。迷惑かけていない?」
「大丈夫ですよ_____。」
と、早速母が話し始める。
淳弥くん頑張って。母は話がものすごく長いのだ。
盛り上がってるなぁ。
それから私はその間に2階にある自分の部屋に向かった。
「懐かしい。」
部屋はそのままだった。
私物もわずかに残っている。でもほとんど捨ててしまった。
私はふと机の引き出しから“写真”を取り出す。
「Aー。」
「!」
するとその時、階段の方から彼の声がした。
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作者名:のん | 作成日時:2021年8月15日 19時