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ぽかん、と餌を待つ鯉の様に中也さんを見つめる。中也さんは少し私の方へ視線を向けたあと、奥の方の黒服さんがいる所へ一直線に向かった。そのまま黒服さんの方へと視線を向ける。中也さんは席に着くと、黒服さんと仲が良さそうに話し始めた。
あの人マフィアだったのか…
というか中也さんが笑顔…これは貴重
普段アニメでもあまり見た事なかった中也さんの少し砕けた笑顔に私も頬を緩ませる。平和っていいなあと実感した後、丁度よくレシピを書いたであろう紙を持ったマスターが出てきた。
「お待たせしました。こちらレシピになります。カナッペの他にも何種類か書いているので是非ご覧ください。」
「そんな…!ありがとうございます。」
思いもよらぬマスターのご好意にびっくりする。今日のご飯は豪華になりそうだなと考えながらマスターにお礼を言った。そして今一番気になっているお会計のことを聞こうと思ったところで、私のカバンからバイブ音が聞こえた。
「あ、すみません失礼します」
「いえ、お気になさらず。」
マスターに相槌をして、その震えている電話に出る。携帯に登録している電話は太宰さんしかいないので間違い電話出ない限り太宰さんだろう。電話に出ると、携帯から「もしもしAちゃ〜ん?」と呑気な声が聞こえた。
「はい。なんですか太宰さん?」
中也さんというかマフィアに聞かれてはやばいと思ったので声を小さめで話す。話の内容は、探偵社の買い出しを頼まれてくれないかということ。
「それ太宰さんの仕事では…?」
《いやそうなんだけどね?今Aちゃんドラックストアの近くにいるだろうなって思ったから。》
「すみませんしれっと場所ほぼ特定するのやめてくれません?」
確かに、このお店の徒歩3分圏内にはドラックストアがある。かと言って探偵社の事務員でもない私が買いに行くのは違うのではないだろうか。まあ断れる立場に私はいないが。
「わかりましたよ…。買いに行きますから何買えばいいか────────え。」
何を買えばいいか尋ねようとした瞬間、携帯が手から無くなった。何度か先程まで携帯を握っていた方の手を握ったり開いたりする。やはり無い。
そういえば先程から後ろに気配がある。まさか、とゆっくり首を後ろ側へ向ける。
「あぁ......」
なんという事だろう。私が先程まで持っていた携帯を持ち、とてもおぞましい笑みで私を見つめる中也さんが、そこにいた。
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そこら辺の壁(プロフ) - 初コメ失礼します!とにかく可愛くて、平和で見ていて幸せなお話ばかりで、一気に好きになりました!主様の語彙力と文才も素晴らしくて尊敬します!これからも応援しております!頑張って下さい! (12月30日 22時) (レス) @page33 id: 09395bcd27 (このIDを非表示/違反報告)
かっこんとう。(プロフ) - 太宰推しさん» わー!ありがとうございます💞わたしも立原さんと条野さんってどこかで接触してそうだよな…って思って書いたものなので同士がいてとても嬉しいです✨ (12月30日 20時) (レス) id: 0671adeb22 (このIDを非表示/違反報告)
太宰推し - か、、、可愛い、、、てえてえ…何気に立原さんと条野さんとの接触見てみたかったです、、、!之からもお体を崩さない程度に頑張ってください!! (12月30日 4時) (レス) @page33 id: bbcbdad659 (このIDを非表示/違反報告)
かっこんとう。(プロフ) - I am水さん» ありがとうございます🌷.*本誌が辛すぎて少しでも平和を摂取したいと思って作った作品がこれなので嬉しいです!非ログ勢関係なく読んでくださってることが嬉しいので更新頑張ります🙌 (8月12日 10時) (レス) id: 48a9c45d45 (このIDを非表示/違反報告)
I am水 - なんかこう…日常というか…平和な世界線というか…ええ、大好きです。非ログ勢の為、お気に入り登録…?とかはできないんですが、めっちゃ応援してます!!身体こわさない程度に頑張ってください!! (8月11日 14時) (レス) @page32 id: f9c19b65bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かっこんとう。 | 作成日時:2023年3月12日 16時