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あの人、何だったんだろう。
あの男の人のことは気になるけれど、まだまだハロウィンフェスティバルは始まったばかり。私はスイーツ巡りを再開していた。
さっきゲットしたのはチョコレートボンボン。よく兄さんが勉強中の差し入れに持ってきてくれる店のものだ。この店は味のバリエーションの多さが売りで、見ているだけでとても楽しい。うーん、次はどこに行こうかしら。
「すみませーん、そこの赤ずきんちゃん!」
「はい、私のことで──」
「はいこんにちはー!」
声を掛けられ振り向くと、ぐいっとマイクを押し付けられた。え、何!?
「○□TVです!」
「テレビ……!?」
笑顔でマイクを握るのは、見るからに押しの強そうなお姉さん。後ろにはスタッフらしき人が何人か居て、一番大柄な男性が持つカメラはまっすぐ私に向けられている。
「我々ですね、ただいまハロウィンフェスティバルで一番可愛い仮装者さんを決めるという企画をやっておりましてー!お嬢さん、とっても素敵ですねえ!わたくし後ろ姿を見ただけでビビッときちゃいましたよぉ!」
混乱する私をよそに、お姉さんは早口でまくし立てる。その間もカメラのレンズはずっと私に向けられていて。
「あらら、顔真っ赤かわいいー!こういうのは馴れてない?リラックスしてくれていいからねー!!」
「え、ええと」
言われれば言われるほど緊張してしまう。取材、なのよねこれ?早くお断りしなくちゃ……。
「そうそうこれ、生中継なんですよぉ!お茶の間の皆さんにメッセージを!何か言ってくれないと放送事故になっちゃうアハハ!!」
そういうお姉さんの目はまったく笑っていなかった。……というか生中継なの!?
思わずじりじりと後ずさると、お姉さん達もじりじりと寄ってくる。どうしよう、何か言わないといけないのに言葉が出てこない。
その時だった。
「──!」
突然、後ろから手首を掴まれた。そのまま思い切り引き寄せられる。
よろめきながら振り向く。私の手を掴んでいたのは、オレンジ色のバンダナをした男の子だった。童顔と小柄な体躯で一見女の子のようにも見えるけれど、紫色の瞳は強気にテレビ局の人達を睨み付けている。
「貴方は一体──」
「逃げんぞッ!」
「え、えええええ!?」
男の子は走り出す──私の手を固く握ったまま。テレビ局の人達が何か言っている声がどんどん遠ざかっていった。
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あさはか金魚(プロフ) - 面白い!こんな面白い作品を作っていただきありがとうございます!! (2020年8月2日 10時) (レス) id: bae01be7f3 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - tamaさん» コメントありがとうございます!最初にコメントくれた方ですよね?ずっと読んでくれていたこと、感謝します。これからも頑張ります! (2019年11月14日 0時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - お久しぶりです!31話からもうわくわくでした!頑張って! (2019年11月12日 20時) (レス) id: 85d88e1cc2 (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 美琴さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけてなによりです!ハロウィン後半のテーマは『あの人達と一日限りの邂逅』です。もう11月ですがまだハロウィン回は続くので楽しんでいただけると嬉しいです! (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
伯(プロフ) - 幽銀さん» コメントありがとうございます!作者も読んでくださる読者の皆さんがいっぱいしゅき…… (2019年11月12日 1時) (レス) id: bb5d92349b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伯 | 作成日時:2019年9月3日 4時