海底

何が欲しい？　01 ページ10

「ドラえもんのひみつ道具で、何が欲しい？」







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　いきなりの若武の質問に、私達は顔を見合わせた。







「そりゃ、学生なら暗記パンだろ」


　素早く言ったのは、上杉君。



「パンを食うだけで教科書が丸々1ページ覚えられるんだ。俺なら毎朝3枚は食うね」



　いや、3枚は朝から多すぎじゃないかなあ……。

　でも、食べるだけで覚えられるって、確かにいいよね。



「僕は、ももたろう印のきびだんごかなあ」




　そう言ったのは、小塚君。


　ん？ももたろう印のきびだんごって？




「それを食べさせるだけで、どんな動物もなついてくれるきびだんごだよ。

　あ、でも効果がいつか切れちゃうから、永遠に持続するように改良してほしいな。

　タイムマシンで、今は絶滅してしまった動物や植物を観察するのもいいかも」




　はあ……。やっぱり、小塚君はそういう方面だよね。




「なんだお前ら、勉強だの動物の観察だの、ちいせぇなー。

　黒木はどうなんだよ」




「俺？うーん……」





　若武に話を振られ、考え込む黒木君。





「タケコプターかな……」




　あれ、案外普通のとこきたね。





「人間って、地上で生きる生き物だからさ。自分の体が完全に宙に浮いている感覚って、一度味わってみたいんだよね」


「あ、それは分かるかも」





　翼も？





「あ、でも俺は、透明マントがほしいな〜」




　……。


　ニヤリと笑った翼に、だれも理由は聞かない………。









「なんだお前ら、やっぱそういうとこいくかー」



　少しつまらなさそうに、イスに体をもたれさせる若武。



「じゃあお前はなんなんだよ」



　上杉君の問いに、ニヤリとして答えた。






「俺？



　もちろん、四次元ポケットだろ」









　…………




　せっこーい………。






(おわり)

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