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花火 03 ページ8








「結婚したい?」




 男が、あくまで静かな口調で尋ねた。


 女は、穏やかな表情のまま、首を横に振る。






「結婚が幸せのゴールだとは思わないよ。


 確かに、暖かな家庭に憧れは持つけれど。





 大好きな人と、ずっと一緒にいる約束が出来たら、私はそれで満足」




「約束なんて不安定なもので?」




「うん。
 結婚なんて、紙の上での契約でしょ?

 約束は、心と心の契約だもの。

 違う?」







 男は、小さく噴き出した。





「さすがアーヤだね。

 君ほど 言葉を美しく操る人を、俺は他に知らないよ」



「お褒め頂き 光栄至極」




 女がおどけて答える。




 そのまま、男の方に、自らの頭をもたれさせた。








「……


 一緒にいて、くれるでしょ?」



「君がそれを望むなら」




 ニヤリと笑った男もまた、おどけている。




「もー。

 人が真面目に聞いたのに、ちゃんと答えてよ」





 頬を膨らます女に、男は愛おし気に目を細めた。









「本心だよ。



 結婚はしない。


 でも、一生君の傍に居る」






 女の額に、リップ音を立てる。



 女は、ほんの一瞬

 泣きそうに眼を瞬かせた。







「私がおばあちゃんになっても、愛してくれますか?」


「君ほど可愛らしいおばあちゃんはいないんじゃない?」






 疑問に疑問を返す男に、女はぷっと噴き出した。








「………ふふ

 ありがとう、黒木君」













 ……こちらこそ、


 アーヤ、ありがとう。








 無声音の男の呟きは、傍らにいる女には届かなかった。







(おわり)

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ハナ - 恋檬さん» 私もあげたいです!!!! (2017年12月16日 21時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
恋檬(プロフ) - スマホが欲しいアーヤにスマホをあげたいよお!!! (2017年10月22日 11時) (レス) id: a868e82522 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - @恋歌さん» 花畑ですよ!読んでくださっているのですね、ありがとうございます。憧れだなんて…恐縮です。私こそ、読者様のコメントにはいつも励まされています。凄く嬉しいです(#^.^#)応援ありがとうございます。頑張ります!! (2017年10月22日 9時) (レス) id: 74426fb86e (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - 花畑さんですよね?違ったらすいません。 (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - これからも、応援しています。頑張ってください! (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月11日 14時

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