* ページ23
「彩を泣かせてしまった自分に、彩を守ることができるのか」
「…………」
「彼女を傷つけた自分に、彼女のそばにいる資格があるのか」
「………よくご存知で」
皮肉めいた微笑は、いつもより数段弱々しい。
「お生憎さま。彩は、お前なんかに守ってもらう必要なんてないほど強いよ」
長かった髪を切った。
牛乳ばかり飲んで、背を伸ばした。
そうしてどうにかして彼女を守る存在になりたいと……いや、近づきたいと、そう願っていて、気づいた。
彩は強かった。
いつでも私は、守るなんておろか 守られるばかりで。
「彩は、守られたいなんて考えてない。
お前の傍にいたいって、ただそれだけ」
健気すぎて涙が出るよ。
「だから、お前はそのお門違いな考えはさっさと捨ててやるんだな」
馬鹿にしたようにそう言ってやると、
黒木はムッとしたように黙り込む。
「……可愛げのない女」
「最大の褒め言葉だね」
そう、私は、可愛げのない女になりたかった。
彼女を守れるほど、強くなりたかった。
少しでもカッコいいと思ってもらえればよかった。
そんなの、もう願えない。
彼女の思う相手は、こいつなんだから。
「もう一度言う」
深く息を吸い込んだ。
「彼女を、泣かせるな」
「………了解」
渋々といった様子で頷く黒木。
うん、まあ許容できる。
スッキリした私は、背を向けた。
もう言いたいことなんてない。これからは二人の物語だ。
そこに私の割り込む隙はない。
普通の恋だった。なんてことない、どこにでも転がっているような恋。
ただ少し、苦くてしょっぱいだけ。
ギュウッと胸が締めつけられて
私は空を仰いだ。
君に幸あれ、彩。
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←おまけ
26人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハナ - 恋檬さん» 私もあげたいです!!!! (2017年12月16日 21時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
恋檬(プロフ) - スマホが欲しいアーヤにスマホをあげたいよお!!! (2017年10月22日 11時) (レス) id: a868e82522 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - @恋歌さん» 花畑ですよ!読んでくださっているのですね、ありがとうございます。憧れだなんて…恐縮です。私こそ、読者様のコメントにはいつも励まされています。凄く嬉しいです(#^.^#)応援ありがとうございます。頑張ります!! (2017年10月22日 9時) (レス) id: 74426fb86e (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - 花畑さんですよね?違ったらすいません。 (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - これからも、応援しています。頑張ってください! (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ