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おまけ ページ22

(??side)




「とりあえず」



バキバキと手を鳴らしながら、その長身に近づく。

石像のように突っ立つそいつは、なにもかも諦めたようにこちらを見ていた。


その漆黒の瞳。
彩を魅了してやまない深い目。



「殴らせろ」
「どうぞお好きに」



拳をギュッと固め、後ろに引いた。
そこから勢いのままに、その形のいい左頬をぶち抜く。


「っ………」



確かな感触とともに、黒木が1本後ずさった。



「………グーかよ…」
「ったりまえだ」



ここまで本気で人を殴ったことなんてない。

右手がジンジンと傷んだ。



「二度と、泣かせんな」



泣かせたら、殴る。


精一杯睨みを聞かせながら言ってやる。


ゆらりと揺れた黒曜石は、ゆっくりと瞬きをしながら物言いたげに私を見た。




「……奪うとは、言わないんだ」




こいつ……。


どこまでも憎たらしい男だ。
私はそんなカマには引っかからない。



「なんのこと」



背筋を伸ばす。
せめて少しでも大きく見えるように。



「………ねえ、君はさ」



相変わらず何を考えてる分からない目をしている黒木。

心なしか今日は、どこか悲しげな哀愁をもっている。



「ほんとは、俺が憎いだろ」
「………」
「君が今何考えてるか当ててやろうか」
「……」


何を言い出すんだ、こいつは。

不安定な色を灯した瞳。



「アーヤが自分のものになればいいのに……だろ」
「…そんなこと」
「否定するなよ。

素直になれば?本当は君はさ」



なんなんだこいつは。

なんでこいつに私は、私の一番弱い部分を語られなきゃいけないんだ。




「あいにく!!!」



唐突に遮った私を、驚いたように見る。



「私は、お前なんかの鬱憤晴らしに付きあってやるほど 優しくないし暇じゃないんだよ」




お前が私を語るな。
私を語っていいのは、私だけだ。

彩でも許さない。

私だけだ。




「バカバカしい」



こんなやつでも、黒木は良い奴だ。

彩を任せられるのはこいつしかいないし、彩もこいつ以外目に入らないぐらいこいつに傾倒してるのはわかってる。



だからこそ、そいつに私の思いを暴かれるのは許さない。



「お前が今何考えてるか当ててやろうか」



腕を組んだ。

顎を突き出す。


これは私の虚勢だ。

何においても適わないこいつへの、精一杯の反抗だ。



*→←あとがき



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ハナ - 恋檬さん» 私もあげたいです!!!! (2017年12月16日 21時) (レス) id: a28dd52497 (このIDを非表示/違反報告)
恋檬(プロフ) - スマホが欲しいアーヤにスマホをあげたいよお!!! (2017年10月22日 11時) (レス) id: a868e82522 (このIDを非表示/違反報告)
ハナ - @恋歌さん» 花畑ですよ!読んでくださっているのですね、ありがとうございます。憧れだなんて…恐縮です。私こそ、読者様のコメントにはいつも励まされています。凄く嬉しいです(#^.^#)応援ありがとうございます。頑張ります!! (2017年10月22日 9時) (レス) id: 74426fb86e (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - 花畑さんですよね?違ったらすいません。 (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)
@恋歌 - これからも、応援しています。頑張ってください! (2017年10月1日 16時) (レス) id: 2a50b7073d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月11日 14時

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