72曲目 *目一杯の ページ22
「おっと。大丈夫か、しっかりせぇや?」
それを、坂田さんが後ろから抱き抱え支えてくれた。
それにより開けた私の視界には、顔を赤くし、肩で息をしたうらたさんが映る。
その唇は艷やかに濡れていた。
「そろそろオレも混ぜろや」
志麻さんがうらたさんを軽く退け、私の前に立つ。
そして、私の顔に自分の顔をずいっと近付け、不敵に笑った。
「…なーんやええ感じにできあがっとるやん?
かわええよ、A」
媚びるように私の名を呼びながら、志麻さんは私の両足の間に自分の足を差し入れ、私に密着させる。
「んっ、志麻さ、それ、は駄目っ…」
「んな声で言われてもなぁ…そそるだけやぞ」
その足は私を弄ぶように動き続ける。
足はとうに力が入らなくなっているため、志麻さんの足と背中の坂田さんに身体を預ける形になってしまっていた。
はくはくと、まるで酸素を欲す魚のように間抜けにも開き続けていた、これまた力の入らない唇を坂田さんの指がつつ、となぞる。
「さっきから口開いとるで?
唇ゆるゆるになってもうたなぁ…。
俺も温めてや?」
そう言うと坂田さんは右手の人差し指と中指を私の唇にとんとん、と当ててきた。
そして、締まりきっていない私の口内に侵入してくる。
先程よりも大きく、強く私の中を刺激するそれと、咥えている顔を坂田さん、志麻さん、うらたさんに見られているという状況に、胸中に羞恥が押し寄せてくる。
「ん…良い子。俺も温めたる」
坂田さんはそう私の耳元で囁くと、そのまま耳を執拗に舐め始める。
高揚する気持ちが抑えられず、止めてくださいと言おうにも口は塞がれていて喋れない。
上から下からと与えられる刺激に身体を震わせていると、ふわっと暖かい風が私達を撫でる。
次の瞬間、志麻さんの後ろから出てきた大きな手が私を引っ張り、気付けば私はその人の…センラさんの腕の中に収まっていた。
まだ力の入らない身体は、だらしなく完全に彼の胸に寄りかかる。
「…沢山可愛がってもらえたみたいやね。
ちょっと疲れたな。よしよし」
センラさんは私の頭を優しく撫でる。
私が一人で立てるようになると、彼は私の手を取り、跪いた。
「Aちゃん。これから君は大変なことが沢山ある。けど、後悔だけはせんようにな。
ありふれた日々も、いつしか誇れるように」
彼は淡い桜のように満面の笑みを浮かべると、私の手にキスを落とした。
それと同時にこの世界の幕が落ちる。
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Shooto_Keeki(プロフ) - たまたま見つけて読んでました。もう本当に最高でした、最後の展開で泣きそうになっちゃいましたよw (2019年9月22日 19時) (レス) id: 7c93d27e64 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 時雨さん» 最後までお読みいただき、ありがとうございました!涙だなんて、そんなに感動していただけてとても嬉しいです…! (2019年1月31日 9時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - とても凄くて感動しました…!!(語彙力低下)最後涙が…;;素敵な作品、読ませていただきありがとうございました…!!!!!! (2019年1月31日 0時) (レス) id: 274b7ae121 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 夢愛-ゆあ-さん» 長編になっていますが、最後までお読みいただきありがとうございます!泣いていただける程感動してもらうことができ、私もとても幸せに思います。わざわざコメントまでいていただき、ありがとうございました! (2019年1月7日 22時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
夢愛-ゆあ-(プロフ) - とても面白くて一気読みしちゃいました…!最後の方は感動で涙が止まりませんでした…(涙)実は小説を読んで泣いたのって初めてで自分でびっくりしてます(((それほど素敵な小説に出会えて幸せです!今から番外編も読ませていただきます!長文失礼しました!! (2019年1月7日 19時) (レス) id: b3b95c5e04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2018年11月14日 19時