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こんな所で…いや、こんな女のせいで死ぬ訳にはいかない！彼女へ見せ付けるように、懐に忍ばせていたとっておきを突き出した。
「く、来るな！！」
「…！」
「この城には各所にさっきと同じ毒ガスが仕込んである…このスイッチを押せば、近くにある爆弾が爆発し漏れる仕組みだ！貴様に効かなかったのは残念だが、他の奴らはそうもいかないぞ…！」
抑えきれない恐怖心から突き出す腕が震える。しかしそれでも、このスイッチを押すタイミングは間違ってはならない。自己犠牲が甚だしいコイツも、流石に味方への被害は食い止めたいはずだ。その期待から漸く安堵の笑みを浮かべようとした矢先、その唇が形作ったのは、またしても予想外の展開であった。
「《押せばいいんじゃない？》」
「…は、お前、自分が何を言っているのか分かっているのか…？」
体質だけでなく思考も狂っているのだろうか。信じ難い事に、何の躊躇いもなくあっさりと言葉にしている。それだけでなくこちらの静止を聞く様子もなく、ずかずかと歩を進めてきた。そして言動に混乱し躊躇する俺に呆れたのか、刀を軽く振りスイッチを持つ手を斬りつけ、その突然の痛みで思わず手を離してしまった。
「っあ…？！ふざけた真似を…！！」
「《押せないなら、代わりに押してあげますよ》」
「！？や、やめ…！」
仕込んでいる事自体は事実でも、この場においてはあくまで脅しとしての役割を果たせば十分だったのだ。本来は敵軍が疲弊したタイミングを見計らい、自軍を撤退させた後発動する手筈。今引き起こしてしまえばここから離脱するのも儘ならない。そんな背景を知ってか知らずか、Aは躊躇いなく手にしたスイッチを押してしまう。しかし…どういうことだろう。この広い空間にはスイッチから金属音が虚しく鳴り響くだけであったのだ。
「…なぜ…何故、爆発しない…？！」
「《当然ですよ。貴方達が仕込んだ毒薬も爆弾も、無力化させてもらいましたから》」
さも当たり前のように淡々と状況を述べる様を前に、俺は気づいてしまった。もしかしてすべて彼女の掌の上なのではないか、と。
「《もうお終いですか？》」
「あ…あぁ…」
「《じゃあ…──》」
かつて無い恐怖心から視界が暗くなる中、見下げる眼だけは無邪気な子供のような無垢な色をしていた。
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にゃむ吉(プロフ) - アイリさん» コメントありがとうございます。主人公の心情・状況を丁寧に表現したくこのような手法をとりました。少しでも楽しみのひとつになれたのなら幸いです… (2022年6月5日 17時) (
レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
アイリ - ちゃんと日記のとこ漢字かけなくてひらがなになっていくの好きやわ… (2022年6月4日 22時) (レス) @page20 id: 018c1614bc (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - にゃむ吉さん» 了解です。意図的でしたのなら、口を挟んで申し訳ないです。これからも応援させていただきます。頑張ってください( *˙ω˙*)و ｸﾞｯ! (2022年3月19日 18時) (レス) id: 00820fe97a (このIDを非表示/違反報告)
にゃむ吉(プロフ) - ウイさん» メッセージありがとうございます。指摘いただいた内容については当初は意図した表記だったのですが、読み直すと確かに違和感もありましたので伝えたいニュアンスを含め修正しました。引き続きよろしくお願いいたします。 (2022年3月19日 7時) (レス) id: ba49f73308 (このIDを非表示/違反報告)
ウイ(プロフ) - 気になったのでご指摘させて頂きます。ps(分かりますか？)のセリフで『あり？』という物がありまして、『あれ？』では無いのかなと思いました。何か意図的にやっているなら申し訳ないですが気になったのでコメント失礼しました。今後も頑張ってください (2022年3月19日 7時) (レス) @page32 id: 00820fe97a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃむ吉 | 作成日時：2021年7月16日 16時
