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【過去】
ガラルの雪国、キルクスで生まれた僕は嘗、肺の病気を患っていて病室でいつも過ごしていた。
元々、母も肺の病気にかかっていたということもあり、遺伝だった。
ただ赤ん坊だった僕は母ほど症状は悪くなかったが、医師から命の危機を告げられていたそうだ。
母は赤ん坊の僕にごめんね、ごめんね、ちゃんと生んであげられなくてごめんねって泣きながら謝っていた。
母のポケモンであるユキメノコはそんな母の頭を優しく撫でてくれた。

父は現在で言うマクロコスモスの社員だった。当時のマクロコスモスはあらゆる事業において今ほど世間に大きな影響をもたらしてはいなかったが、社員たちはほとんど毎日残業の日々で家族に会う暇はないくらいに忙しかったのだそうだ。だから僕は父に会ったことも、実父の顔も全く覚えていない。
生まれた当時は危機を迫られた僕の小さき命だったが、病気とは思えないくらいに元気になって奇跡的に症状がよくなっていった。「奇跡」なんて軽々しく口出すもんじゃないけれど。


時はすぎて僕の7歳の誕生日。今日は僕の誕生日を祝いに父がお見舞いに来てくれるそうだ。
初めて父と顔を合わせるのを心待ちにしていた時。突然母の症状が悪化した。
これは後から先生に聞いた話だが、母は僕を生んだ時からとっくに余命宣告を告げられていたそうで。
突然苦しみ出す母と母を介抱する看護師さん。怖かった。母がいなくなっちゃうんじゃないかって。
倒れた母を必死になって起こそうとする僕、何度体を揺すっても起きない。返事をしてくれない。
さすがに察したのか、看護師さんは母の左腕から脈を測った後悲しそうな顔をした。
母が亡くなったことを知ると僕は声が枯れるまで泣いた。

しかし、母が亡くなってから僕の病気の症状も悪化する一方で、母が亡くなったショックから「死んでもいい」って思っていた時だ。僕は突然息苦しくなってとても胸あたりが痛くなった。僕は死を覚悟した。同時に「母に会える」って思った。僕だって忘れてないさ。僕の病気も元々は生死に関わってるってことを。
やっと思い出した。…ああ。僕、今度こそ死ぬんだな。
突然呼吸困難になり、手術室に運ばれた後。父が僕のお見舞いに来ていたようで。
先生と何か話をしているのがうっすらと聞こえた。

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作者名:おもち(むむー) | 作成日時:2020年9月22日 23時

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