２９（Mside） ページ29
隣で号泣してる千ちゃん…
最初の勢いはどうしたの？って感じだけど、千ちゃんのおかげで楽屋の空気が一変した気がした
「ごめんな…みっちゃん…。ずっと…辛かったよな…」
「横尾さん…」
「俺…みっちゃんが寂しがってるの知ってて、太輔の事縛り付けたんだ。」
「ちがっ…」
「みっちゃんも太輔も…俺にとって、大事なメンバーなのにね…。」
「よ、こ…さんっ…」
ぽろっと綺麗な涙を一粒だけ零して、横尾さんはみっちゃんを抱きしめた
それはまるで…自分の気持ちを諦めるから、最後に一度だけ、って言ってるみたいで…
横尾さんの気持ちが痛いくらいに伝わる抱擁だった
「太輔、みっちゃんに別れようなんて言ったけど、今でもみっちゃんの事大好きだからね。」
「え…」
「ちゃんと、話できたから。だから、もう何も心配いらないからね。」
「…話…？」
「太輔をみっちゃんに返すから、また…太輔に愛して貰いなね。」
「横尾さん…」
キタミツに優しく微笑みながら、横尾さんはゆっくりとキタミツから離れた
何も言わずに二人を見てたガヤさんに近付いて、ガヤさんを立ち上がらせると黙ってキタミツの方に押し出した
「…藤ヶ谷」
「ごめんな…宏光…」
躊躇いがちにガヤさんを見上げたキタミツ
ガヤさんは痩せて小さくなってしまったミツの体を、優しく…でも強く抱きしめた
キタミツがぎゅって…ガヤさんの背中に手を回したの見て、俺も危うく号泣しそうになった
ちらっと見たたまさんは、必死に涙を堪えてる
千ちゃんは号泣しながらも、ニカに寄り添ってる
ニカの優しい眼差しは、まだキタミツに向けられたままだけど、ニカの手は優しく千ちゃんの肩を抱いている
……きっと…千ちゃんの想いがニカに届くのはすぐだね…
皆がホッコリした頃に、バタンと響いたドアの音
「失礼します。あ、いたいた！北山さん、来てらしたんですね！すぐに準備してください！」
「あ……はい、すいません！」
一斉に皆がドアの方を振り向く
退院したとはいえ、まだ本調子じゃないミツ
同じ様に慌てて振り向いたミツの体が揺らいだ
「危ないっ…」
咄嗟にミツに向けて伸ばされた6つの手…
ミツが迷いなく掴んだのは、恋人であるガヤさんの手だった
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作者名：MISA
| 作成日時：2018年5月31日 16時
