28 (Sside) ページ28
捲し立てるミツを見てたら、すっごく腹が立ってきちゃって…
だって、こうなったのにはミツにも原因あるでしょう?
「それは俺が聞きたいよ!一体ミツはどうしたいの?」
後先考えずに、ミツに言っちゃった
ミツは動揺したみたいに、目を大きく開いて固まってる
「熱がある事、ガヤさんに黙ってたり、ガヤさんを横尾さんの所に行かせたり…。一体何がしたいの!?」
「…」
「いつものミツじゃないじゃん!ちゃんと言わなきゃ分かんないって、ミツがいつも言ってる事だよ?!」
「千ちゃん。」
宮田が俺を宥めるみたいに肩を叩くけど、もう止められないよ
だって…
「…ミツは…ニカの事どう思ってんの?」
「え…」
「ニカの気持ち、聞いたんでしょ?」
ミツは気まずそうにニカとガヤさんをちらりと見たけど、決心したみたいに俺に向き直った
良かった…いつものミツだ…
「ニカは、大事なメンバーだよ。皆の事も大事だけど、ニカとは…色々あったから…」
誰もが知ってるニカとの絆
ニカがミツにとって特別だってのは分かってる
それはニカも同じで…
「ニカが笑ってると俺もめちゃくちゃ嬉しいし、ニカが困ってたら助けてやりたいと思う。誰よりも幸せになって欲しいって思う存在だよ。」
「ミツ…」
嬉しそうに微笑むニカ
でもその中に、ほんの少し寂しさが見えるのは、ミツの言葉の真意を知ってるからだよね
「でも…ニカの気持ちには応えられない。俺の隣は…藤ヶ谷しかいないから…。」
「じゃあ、何でガヤさんと別れたりしたの?!」
「だって……仕方ないだろ…」
次第に瞳に溢れてくる涙を隠すみたいに、ミツは俯いて肩を震わせた
「藤ヶ谷が俺と別れたいって言ったんだ…。俺といるのが辛いって…。そしたら…別れてやる事が、俺が藤ヶ谷にしてやれる唯一の事だろ?」
「ミツ…」
照れ屋で、ガヤさんとの事はあまり話したがらないミツ
人前でこんな風に、苦しみの涙を流す姿なんか今まで見たことなくて…
ミツはやっぱりガヤさんを愛してるんだって…俺、めちゃくちゃ感動して…
「千ちゃんが号泣してどうするの…」
「だってっ…ウグッ…ウグッ…」
ミツの事、叱ってやろうと思ってたけど、ミツの不器用な愛情表現に結局俺が号泣しちゃって…
最初の苛立ちは、どこかに行っちゃってた
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作者名:MISA | 作成日時:2018年5月31日 16時