26(Mside) ページ26
立ち上がったたまが、俺の肩にパンチしてきた時に気が付いた
何か吹っ掛けに行くんだ、と
ガヤさんがたまの挑発に乗って、一触即発な雰囲気になった時はマジ焦った
慌てて二人に駆け寄ったけど、俺の事を微塵も気に留める事は無く、彫刻みたいな綺麗な二つの横顔が向かい合う
「あのっ…」
チラリと俺を見たたまの目が、まだ口を出すな、って訴えてる
周りを見れば、不安そうにこちらを見ている横尾さんと、既に半分泣きかけてる健永
そして、俯いたままぎゅっと拳を握りしめてるニカ…
「どういう意味だよ?」
「これまでの事、全部俺が仕組んだ、って言ったら?」
「は?」
ピクリとニカの肩が震えたのが分かった
握りしめた拳がまた…強く強く握られていく
「たま…あの時の…」
きっと…ニカは気付いたんだ
たまの仕掛けたトラップに…
「お前、ふざけんなっ。ニカに何やった!?お前のせいでっ、」
「ちょ、がやさんっ!」
怒りのままに、ガヤさんに胸ぐらを掴まれて壁に押し当てられたたまは、表情一つ変えない
見ていた俺や千ちゃんの方が動揺してたくらいだ
「俺は何もしてないよ?ただちょっと、ニカにミツが熱出してるって教えただけ。だって、ガヤに放っておかれて、ミツ可哀想じゃん?それに…俺はちゃんと、ガヤにもわったーにも忠告したはずだけど。」
「…っ…」
ガヤさんと横尾さんが、息を呑んだのが分かった
強張った二人の表情とは正反対に、たまは涼しげな表情のまま
「ずっとミツとすれ違いだったもんね、最近。もうミツに興味なくなった?」
「そんな訳っ」
「なら…ミツよりわったーの方に気になることが出来ちゃったのかなぁ…?」
「…っ…」
たまの胸元を握るガヤさんの手が、小刻みに震えてる
「ミツの熱に気付けないくらい自分を見失うなんて、ガヤらしくないね。そんなにわったーの存在が怖かった?」
「…」
「あー、わったーだけじゃないか。もしかしたらニカの方が手強かったかも。油断してたねー、ガヤ。」
「もう止めろよっ!」
大声を出して遮ったニカにもたまは怯まなかった
「わったーやニカの気持ちに怯えるより、ミツの気持ち信じてやるだけで良かったんじゃない?ねぇ?ガヤ…」
ガヤに掴まれた右手をたまがぐっと握り返す
その瞬間、ガヤはまるで力を失ったみたいに、崩れ落ちた
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作者名:MISA | 作成日時:2018年5月31日 16時