２０（Nside） ページ20
俺の背中で意識を失ったミツは、そのまま病院に運び込まれた
病院に向かう車の中では、ミツの意識を取り戻す事に必死で…
ミツの処置を廊下の長椅子で待つ間は、ずっと ミツの言葉が、頭の中でぐるぐると回っていて
「二階堂さん、北山さんの処置終わりましたよ。一緒に先生の話、聞きますか？」
我に帰ったのは、マネージャーが俺に声を掛けてくれた時だった
マネージャーに連れられて入った処置室で、ベッドに横たわるミツは、腕に点滴を打たれて穏やかに眠っていた
久しぶりに見る安心したような寝顔に、涙が溢れそうになった
「色々検査をしてみましたが、やはりこの熱は心因性のものから来ているようです。」
「そう…ですか…」
前にお世話になった先生は、ちらりとミツを見ながら眉を潜めた
「大人の方でここまでの高熱になるのは、かなりのストレスを感じたからだと思うんですよね…。北山さん、あれからもあまり休めていなかったんでしょうか？」
「…すみません…。」
マネージャーが、気まずそうに頭を下げる
だけど、きっとミツが感じてる強いストレスは仕事じゃないよ…
「しばらく入院して貰うことは可能でしょうか？」
「え…」
「睡眠も栄養もかなり不足してるようですし、このままだと北山さんの体が持ちません。免疫力が下がれば、感染症なども危惧されますので…」
「…わかりました。調整してみます。」
事務所に連絡に行ったマネージャーを見送って、ミツに視線を戻すと、先生がポンと肩を叩いてくれた
「もう落ち着きましたか？」
「あ…はい。…すいません…」
「これから北山さんを病室に運びますので。付き添われますよね？」
「あ、はいっ。」
「北山さんを支えてあげてくださいね。」
先生の温かい言葉にまた、涙が溢れそうになる
支えたい
俺がミツを救いたい
でもね、先生…
それは俺じゃないんだ…
「はぁっ…はぁっ…たぃ……ごめん…っ…」
「ミツ…」
ごめんね、ミツ
ミツの求めてる人は、きっとここには来ない
でも、俺が傍にいるから…
俺が…ガヤの代わりになるから…
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作者名：MISA
| 作成日時：2018年5月31日 16時
